アメリカ・テキサス州に住むリンジー・リーバートンさんとブリ・リーバートンさんのカップルは、春が来るのを待ち焦がれていた。ふたりは、4月に結婚式を挙げる予定だったのだ。
式は4月10日に、オースティンのダウンタウンにある由緒正しいホテル「ホテル・エラ」で、96人の身内を招いて開くことが決まっていた。
しかし、新型コロナウイルスが急速に拡大。都市は次々とロックダウンになった。
ふたりは慌てて新しい日程を決めようとしたが、ホテルや業者の日程が合わず、再調整はほとんど不可能だった。
日にちが迫る中で、状況はどんどん深刻になった。4月9日には、リーバートンさんたちの家族の1人が、新型コロナウイルスに感染したことがわかった。
ふたりは待ち望んでいたウェディングプランを諦める決断をした。
しかし、式を挙げることは諦めたくない。ブリさんとリンジーさんは、新たなプランを考えた。
そして思いついたのが、ユニークかつ伝統的で、しかもソーシャルディスタンスが取れる場所――オースティンのビューダにあるドライブインの映画館、「ドックス・ドライブイン・シアター」だった。
ブリさんは、ドックス・ドライブイン・シアターで結婚式を挙げるというアイディアを、ドックスを訪れた友人のInstagramストーリーから思いついたという。
ドックス・ドライブイン・シアターはパンデミックの最中でも、持ち帰りメニューを作るために営業を続けていた。
「ドックスは、このアイディアを聞いて、とても乗り気になってくれました。そこで私たちは17日間で、新しい結婚式を一から計画しました」とブリさんは話す。
「ホテル・エラで結婚式を挙げるという考えを一度頭から取り払って、新しい結婚式を計画し始めたら、全てがうまく収まりました」
「ドライブインシアターであれば、全てのゲストが参加でき、安全な車の中でから、私たちを祝ってくれることができますから」
式の前に映画も見られることもあり、ブリさんとリンジーさんの3人の子どもたちは特に、新プランを喜んだという(歯科助手のブリさんには以前の結婚で生まれた男の子が1人、資産管理サービスディレクターのリンジーさんには双子の娘がいる) 。
結婚式には、85台以上の車が集まった。ゲストは新婦たちが準備したテーブルからポップコーンやシャンパン、ソーダをとり、車中から式を楽しんだ。
スピーチをする両親や親友などは駐車場の最前列に車を止め、ブリさんとリンジーさんの子どもたち、そして特別なゲストは、ステージ横の椅子に座った。
式が始まると、ゲストたちは87.9FMラジオに合わせて音を聞いた。
自分たちの姿がゲストから見られるようブリさんとリンジーさんはステージに立ったが、式の様子は映画のスクリーンにもうつされた。
さらに参加できなかったゲストたちのために、FacebookやInstagramでも結婚式をライブ中継した。
ホテル・エラで予定していたような豪華さはなかったが、とても思い出深い結婚式になった。
「私たちが『誓います』と言うと、みんながクラクションを鳴らしたり、ライトを点滅させたりして祝ってくれました。牛の鈴の音さえ聞こえたような気がします」とブリさんは話す。
「私たちはファーストダンスを踊り、そして家族は私たちの子どもたちと一緒に、ホテル・エラで踊る予定だったダンスを踊りました」
式の後、ブリさんとリンジーさんは1972年製のジープスター・コマンドに乗って退場。その時に、予想外のハプニングが起きたとブリさんは話す。
「会場から出ようとしたのですが、方向感覚があまり良くないリンジーが、左に曲がるべきところを右に曲がってしまいました。そのため、私たちはUターンして、会場に戻らなければなりませんでした」
「会場に戻ったら、ちょうどゲストたちが帰ろうとするところで、みんなにさよならを言うことができたのです。結婚式で最も素晴らしい時間でした」
パンデミックの中で2人を祝福するために来てくれた友人や親戚と、ブリさんとリンジーさんは空中でハグを交わし、投げキスをして、身振りで「アイラブユー」と伝えた。
「これから先何年も、私たちはこの結婚式のことを話し続けると思います。きっと、孫たちにも語り継ぐことになるでしょうね」
ふたりにとって忘れられない日となった結婚式。幸せな1日を写真で見てみよう。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました(翻訳:satoko yasuda )。