ニコ生「クールジャパンを斬る!!」それでもクールか!?「アウトバウンド」の巻その3。
やまもといちろうさん、竹内宏彰さん、青木美沙子さん。
中村
アニメに集中してお話いただいたんですけども、他のコンテンツのジャンルはどう見る?
やまもとさん
ゲームは壊滅しました。とりあえず。
中村
ゲーム、ダメ?音楽はどう?
竹内さん
もともと市場として弱い。でも、「きゃりーぱみゅぱみゅ」とか、「Perfume」とか「初音ミク」とか、日本の象徴として海外に出て行く可能性はあると思います。
やまもとさん
出て行くってなったら国内、海外のユーザーから支持されて出て行くのは分かります。ただ、ご指摘いただいたのは上澄みのごく一部であって、ほかの多数は回収できるのかって話です。今のままだったら次が作れないじゃないですか。
竹内さん
回収モデルを作っていけばいいんでしょ?
やまもとさん
今ないじゃないですかって話です。それをどうやって作るんですかってところが、
竹内さん
「初音ミク」のケースで言いますと、ファンがフィギュアを買います。これは立派な回収モデルですよね。
やまもとさん
例えばフィギュアが250億円くらいの市場があるとして、そのうちのロイヤリティーはいくらで、それに対してどれくらいのマージンレートがあって、自活して次の作品作れるようになるんですか、と。
竹内さん
ミクとかで言うと、作品に対しての投資はほぼキャラクターとボカロのソフトなんじゃないですかね。オールドビジネスのスタイルだったらそういうコストを考えるんですけど、ミクの場合は英語版が出るってなってますし、今までのモデルとはかなり違ったものになってゆくと思います。
やまもとさん
初音ミクのお話は分かるんです。これは成功したモデルだし、ユーザーもいっぱいついているから。けれども、それ以外の代替品がどれほどアメリカに出てます? 日本でトップに近い支持を集めた初音ミクでさえ、たいした知名度を獲得できているわけではない。ぶっちゃけ、知的財産の国内と海外の収支は赤字なんですよ。国内で出て行っているコンテンツを1とすると4入ってきているんです。初音ミクやその他の作品も頑張ってますけども、
竹内さん
「キティーちゃん」、あれ、「初音ミク」より売れてますよね。
中村
「点」でしかないというのが課題なんでしょうね。
竹内さん
反論する人って、ダメダメダメをいうけれども、可能性のあることも出始めている。青木さんはカワイイ大使ということですが、海外でビジネスになっているものなんですか?
青木さん
まだ私たちの市場はビジネスにはなってないと思います。私たちのようなロリータファッションが好きな女の子たちって最初はアニメが好きで、そういうコンテンツから日本に興味を持って、インターネットでいろいろ見て、ファッションにたどりついて、カワイイってなって、
中村
やっぱコンテンツが先なの?
青木さん
そうですね。まずコンテンツで日本に興味をもってからって感じなので、そこで人気が出ないとファッションまでたどりつかないですね。
竹内さん
ユニクロって、海外での店舗展開ではかなり一番良い場所押さえてますが、ショーウィンドウには日本のアニメのキャラクターTシャツが並んでいるんですよ。2~3年前にフランスユニクロに行った時に日本の有名なゲームクリエイターがサイン会やるって言ってました。
買うお客さんはアニメや漫画を支持する人が日本のプロダクトであるファッションを買うということで、経済効果に影響を及ぼしていると思うんですが。
中村
ロリータファッションはそもそも西洋のものじゃないですか、それを日本で青木さんたちが特殊な発展をさせたわけです。それが海外で受けているのはなぜだと思いますか?
青木さん
勘違いしてほしくないことは、私が着ているのはコスプレではなくファッションということです。
アニメのキャラクターになりきるのがコスプレであって、私たちはみなさんが普段ユニクロを着るのと同じように、私たちはロリータファッションを着る、ということの違いがまだ浸透していない。
海外の方もそれを分かっていない方が多いということもあって、でも海外だとアニメから入ってきている方も多いので、ギャップがあってどうしていいのかなというのはあるんです。
中村
ロリータとコスプレという全然違うものがファッションとして注目されているということですよね。他に何かそういうのありますか。
青木さん
ロリータファッション以外だとキャラクターものですね。キティーちゃんとか、キャラ弁などのお弁当も人気がありますね。
中村
ロリータファッションが人気があって、注目している国はどこなんですか?
青木さん
今は中国が一番人気ですね。
竹内さん
そもそも中国にロリータって過去あったんですか?
青木さん
ないですね。お店もない。
今フランスとアメリカに日本のブランドが進出してるんですけども。
中村
つまり、中国が注目していても、日本のブランドはそこでビジネスをできていないということですね。
青木さん
はい。
竹内さん
フランスはどうなんですか。ある意味ファッションとか、アートに関しては先鋭的な国じゃないですか。
青木さん
フランスも日本人になりたいっていうロリータファッションを楽しんでいる方もいらっしゃいますので。
中村
こないだ(Tokyo Crazy Kawaii Paris)にもいっぱいいましたよー。
青木さん
ジャパンエキスポでも人気で。
中村
日本を本場だと思ってるのが不思議。
竹内さん
再編集ですよね。いろんな文化の。
つづく
(2014年2月12日「中村伊知哉Blog」より転載)