今年も5月から始まったクールビズ。環境省は「冷房時の室温28度」を推奨しているが、導入当時に担当課長として関わっていた盛山正仁法務副大臣が5月11日、この温度設定に科学的根拠がないことを明らかにした。テレ朝ニュースなどが報じた。
首相官邸で開かれた副大臣会議で、盛山氏はクールビズについて「科学的知見をもって28度に決めたのではない。何となく28度という目安でスタートし、それが独り歩きしたのが正直なところだ。働きやすさの観点から検討しては」と見直しを提案。これを受けてある副大臣が、「28度は無理があるのではないか。実はかなり不快な温度。科学的に検討を加える」と述べた。
毎日新聞によると、萩生田光一官房副長官も「(28度では)人によっては汗をかいて洗濯物が増える。もう少し緩やかな、根拠のあるものに変えていこう」と語った。
また菅義偉官房長も11日の記者会見で、「環境省が丁寧に検討を進めていくことになる。室温は、28度をメドにするという決まりになっているので、みなさんの過ごしやすい温度でいいのかなと思う」と述べた。
■労働安全衛生法などを基に「28度」に
クールビズは2005年夏、地球温暖化対策のため始まった。毎年5月1日から9月30日まで、上着やネクタイを着用しないなど軽装で過ごすことで、官公庁やオフィスで冷房を節約しようと、冷房時の室温を28度にするよう促している。
クールビズの公式サイトによると、環境省は、室内の温度を17度以上28度以下と定めた「建築物環境衛生管理基準」と労働安全衛生法の「事務所衛生基準規則」を基に、『冷房時の室温28度』を決めた。「各家庭やオフィスなどで、夏の冷房の設定温度を26.2度から28度に1.8度上げると想定すると、大きな削減効果が期待できます」と謳っている。
クールビズは、当時環境大臣だった小池百合子東京都知事が取り組んだことでも知られている。
ハフポスト日本版は5月11日、環境省に話を聞いた。地球温暖化対策課の担当者は、温度設定に科学的知見があったどうかについて、「労働安全衛生法の事業所衛生規則で定められている事業所の室温の上限が28度だったので、目安として設定した。クールビズの導入時に環境省として科学的知見があったのかは定かではない」と説明。設定温度の見直しの可能性は、「現時点で検討はしていない」と否定した。
その上で、「28度はあくまでも目安。温度だけではなく、無理のなく快適に過ごせる範囲で冷房の過度な使用を控えもらい、省エネにつなげたいと考えている」と述べた。
【UPDATE】2017/05/11 20:50
当初の記事は、「関芳弘環境副大臣が、『28度は無理があるのではないか。実はかなり不快な温度。科学的に検討を加える』と述べ、設定温度の見直しを検討する考えを示した。」などとしていましたが、引用元のテレ朝ニュースが記事を修正し、ハフポスト日本版の取材でも環境省側が「見直しを検討していない」としたため、内容を修正しました。