消費税引き上げは国際公約、麻生財務相が先送り論を牽制

23日の閣議後会見では、閣僚から消費増税の判断に関する発言が相次いだ。麻生太郎財務相は消費税を上げなかった場合は大変な影響があると先送り論をけん制したうえで、消費増税による駆け込み需要の発生とその反動をならすため、補正予算が必要になると踏み込んだ...
|
Open Image Modal
Reuters

Open Image Modal

23日の閣議後会見では、閣僚から消費増税の判断に関する発言が相次いだ。麻生太郎財務相は消費税を上げなかった場合は大変な影響があると先送り論をけん制したうえで、消費増税による駆け込み需要の発生とその反動をならすため、補正予算が必要になると踏み込んだ。

甘利明経済再生担当相は、消費増税は現時点で判断できないと指摘、環境整備に努めるとの発言にとどめた。菅義偉官房長官は「さまざまなデータ、対策を駆使する中で首相が判断する」と述べた。

<消費増税先送り論、「根拠わからない」>

麻生財務相は、首相ブレーンの一人である浜田宏一内閣官房参与が消費税先送り論を展開していることに関して、根拠がわからないとし、意見は聞くが自身らの考え方がそれによってぶれることはないと強調した。また、消費増税の環境整備に関して、補正予算を考える必要がある、と明言した。

麻生財務相は先の20カ国財務相・中央銀行総裁会議終了後の記者会見でも、消費増税について「来年の4月(引き上げ)を目指して、10月ごろまでに答えを出したい。消費税を引き上げる方向で、予定通りやりたいと思っている」と発言している。また、G20では財政再建を着実に実施するとの方針もあらためて表明、消費税引き上げは国際公約になっているとの認識だ。

これに対し、甘利経済再生相は消費税引き上げについて「まだこの時点で判断できない。秋の判断は秋にすべきだ」とし、「秋の判断が順調にいくよう、今は環境整備に努めることが使命だ」と述べるにとどめた。

浜田内閣官房参与は今月11日の名古屋での講演で、景気への影響が心配な場合は「なだらかに上げていくこともある」とし、「はじめの年は2%、それから1%ずつ、4、5年かけて上げていく」方式を提唱している。

<GDP改定値見極めの発言相次ぐ>

消費増税を判断する重要な経済指標である4─6月の実質国内総生産(GDP))速報値は8月12日に発表される。しかし、ここにきて、9月9日に発表されるGDP改定値(2次速報)を見てから判断するとの発言が相次いでいる。

菅官房長官は22日の会見で「2番目(2次改定値の発表)が秋にある。そういう数字を見て判断する」と明言した。麻生財務相も23日の会見で、消費増税判断のタイミングは早い方がいいとしながらも、最終判断をする場合は4─6月期の改定値を見た方がより確実だとの考えを示した。さらに、GDPだけでなく、物価目標を達成できる方向で動いているかも判断材料になると述べた。

<首相がデータや対策駆使して判断>

安倍晋三首相は22日の会見で、消費税引き上げについて、4─6月の経済指標などを踏まえ、経済情勢を見極めながら秋に判断すると発言。「デフレ脱却、経済成長と財政再建の両方の観点からしっかりと判断していく」考えを示している。

菅官房長官は23日の会見で「秋の段階で4─6月GDPの2次速報値が出る」と指摘、そういった数値やさまざまな状況を考える中で判断することになるとの見解を示した上で、「デフレからの脱却は大事なことだ。財政健全化が大切だということも十分承知しているが、さまざまなデータ、対策を駆使する中で首相が判断する」と語った。[東京 23日 ロイター] (石田仁志、基太村真司、吉川裕子)

関連記事