安倍晋三首相のブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一・米エール大名誉教授は12日、ロイターとのインタビューに応じ、同日朝に発表された4─6月期国内総生産(GDP)を踏まえ、予定通りの消費税増税は日本の景気に悪影響を与える可能性があるとの認識をあらためて示した。
その上で政府が予定している2014年4月に8%、2015年10月に10%に税率を引き上げるタイミングについて、それぞれ1年先延ばしにすることも一案と語った。インタビューは電話で実施した。
内閣府が12日に発表した2013年4─6月期国民所得統計1次速報によると、実質GDPは前期比プラス0.6%、年率換算プラス2.6%となり、市場の事前予想から下振れた。
浜田氏は以前から、消費税率の予定通りの引き上げには年率4%程度の成長が必要と主張しており、今回の数字を受け、あらためて増税による景気への悪影響を懸念。現状の経済環境で消費増税を実施しても「歳入がすぐに増えるとは限らない」とし、「経済のパイが大きくなることが重要であり、メンツだけを考えて急いで上げる必要はないと思う」と語った。
その上で、政府が予定している来春からの段階的な消費増税について「例えば8%、10%をそれぞれ1年先送りすることがいい案だと思う」と先送りに言及。本田悦朗内閣官房参与らが提唱する毎年1%ずつの増税案は「いろいろと行政コストもかかる」とし、社会保障と税の一体改革関連法案に盛り込まれている「景気条項」に基づいて、柔軟に判断することが望ましいとの考えを示した。
安倍晋三首相は、政府が立ち上げる有識者会合での意見聴取を踏まえ、今秋に消費増税の是非について最終的に判断する。浜田氏は、こうした増税先送り案を有識者会合でも進言する予定だが、首相判断については「わからない」と語った。
(伊藤 純夫 スタンレー・ホワイト 編集;田巻 一彦)
[東京 12日 ロイター]
関連記事