安倍晋三首相は7月11日、自民党総裁として自民党本部で記者会見した。
参院選の結果、憲法改正に前向きとされる4党(自民・公明・おおさか維新・日本のこころ)などが総定数の3分の2に達したことを受け、安倍首相は以下のように述べ、自民党の改憲草案をベースに改憲論議を進めたい意向を示した。
我が党が独自に衆参で3分の2を持っているわけではない。我が党の案がそのまま通るとは考えておりません。その中において、我が党の案をベースにしながら3分の2を構築していくか、これが政治の技術と言ってもいいだろう
これを受けて自民党の茂木敏充・選挙対策委員長は、11日のNHKの討論番組で、
秋の臨時国会でぜひ議論をスタートしたい
と、憲法審査会での具体的な議論の開始に意欲を示し「お互いに譲り合いながら、議論に入ることで合意することが極めて重要なんではないか」と、民進党や共産党などに改憲論議の土俵に上がることを求めた。
これに対し、野党・民進党の枝野幸男幹事長は「憲法の議論をすることは否定していない」としつつ「憲法審査会を開いて何をどういう議論をするのか、折り合いをつけないといけない」と述べ「安保法制の憲法適合性、立憲主義と憲法の定義への理解」といった内容が議論されるべきだと主張した。
共産党の小池晃副委員長は「憲法は国家権力を縛るもの。自民党の改憲案は国民を縛る、憲法ではない。それをベースに議論して下さい(というのはおかしい)」と、議論に応じない姿勢を明らかにした。
■「改憲4党」の温度差
「改憲4党」とされる中にも温度差はある。公明党の斉藤鉄夫・幹事長代行は「総理は行政府のトップだから、立法府でどういう議論をするかについてはあまりおっしゃらない方がいい」と苦言を呈しつつ、「今すぐ憲法改正が行われるという雰囲気の報道もあったけど、そんなことはまったくない。これから議論」と話し、時期について明言を避けた。
おおさか維新の馬場伸幸幹事長は「ぜひ次の国会から、自民と民進と協議して、一刻も早く開いて頂きたい」と、早期の議論開始を歓迎した。