「同意」なしでは使えないコンドームが新開発 意図は良いのに批判されるワケ

性的暴行を犯そうとする男性がその前に「あ、まず同意コンドーム持ってくるね」と言うようなことはないだろう。
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Twitter / Tulipan Argentina
同意なしでは開かないコンドーム

新開発された「『同意』なしでは開かないコンドーム」は、箱を開けるのに2人の両手が必要となる。つまり、双方の性行為への「同意」がなければ、使用できない仕組みになっている。これは一見、性行為へ同意を得ることを促進する、良い試みだ。

しかし、「このコンドームの開発会社は完全に問題を履き違えている」と批判の声が上がっている。

アダルトグッズやコンドームを販売するTulipan社の新しい広告は、2人の両手で4つのボタンを同時に押さないと開封できないコンドーム「同意パック」を発表した。

広告動画では「もし『Yes』でなければ、それは『No』」というキャッチコピーが登場。Twitterでの動画広告の1つには「セックスでは、ルールさえ守れば何でもアリ:2人の同意を守ること」という見出しが添えられた。

新商品の意図は良さそうだが、批判者(セックスセラピストも含む)は、「同意あるセックス」の意味の誤解を招くのでは?、と懸念する。本当の同意は1度のやりとりではない。魔法のボタンを押して「Yes」を聞けば全てOKになる訳ではない。同意は「継続される会話」なのだ。

「この商品は、『コンドームを使用することで同意が完了する訳ではない』という事実を誤解しているようです」とニューヨークのセックスセラピスト、ルーク・クナニシュ氏は話した。

「全ての性行為では、どちらからでも、どの時点からでも拒否をすることができます。その場合、同意を撤回することができるのです」とハフポストUS版に話した。

また、Twitterでも多くコメントされているが、性的暴行を犯そうとする男性がその前に「あ、まず同意コンドーム持ってくるね」と言うようなことはないだろう。

あなたの同意を尊重しない男は、コンドームをつけるかどうかなんて絶対気にしない。 

この同意コンドームは、現時点では広告戦略だけであるが、「問題の本質ではなく症状だけに取り組んでいる」とジャーナリストで活動家のジョージ・M・ジョンソン氏は話す。

「本質の問題は、多くの性的な信条が男性の独占的で支配的な信念に基づく、という事です」とハフポストUS版に語った。

「それだけでなく、レイプや性的暴行はセックスの同意の後にも起こります...セックス中にでも『No』と言ったら『No』なのです。だからこのコンドームは実際の問題を解決しません」

また、この商品は女性を性的暴行から守るよりも、男性をレイプ告訴から守る為のように見える、という声も上がった。

今でさえ性的暴行を裁判で証明するのは難しい。この同意コンドームを利用し、行き過ぎた行為に及んだ場合、「彼女は僕と一緒にコンドームの箱を開けたんだから、これはレイプじゃない」と言える。

この広告を製作した代理店BBDOアルゼンチンのエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターは、「Tulipan社は常に安全な快楽を提唱してきました。この広告では、1番重要な点を主張したかったのです。それは、快楽にはまず2人の同意が不可欠だという事です」とCNNに話した。

どちらにせよ、日本でこのコンドームを実際に使えるのはまだ先になりそうだ。現在は、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスのバーやイベントで期間限定で配布されている。将来的にはネット販売を予定しているという。

多様な意見があるが、この広告は性行為への同意に関しての会話をスタートさせる機会になった。

「人々が会話を始めるという点では成功しましたね」とアダルト業界の広報でありパフォーマーのケリー・シバリさんは話す。「でも現実的には、コンドームは簡単に開けられて、装着中も心地よくて、もし破れたらすぐに分かって、高値ではない事が大事」

「簡単に入手できるコンドームとその情報が必要です。それは明らかに箱にロックされたコンドームではありません」

ハフポストUS版の記事を翻訳、編集しました。