音楽ライブ満足度 アリーナ会場1位は「代々木第一体育館」
会場に足を運ぶファンは、ライブをどのように評価するのか。それは会場の種類の違いと、どんな関係にあるのか。それを知るために、昨年に開催された主なライブを対象とした「2015年音楽ライブ満足度」調査を実施し、「過去1年以内に行った、もっとも印象に残った単独の有料コンサート/ライブ」について聞いた。ライブ会場ごとの満足度調査は、「スタジアム」「アリーナ」「ホール」「野外ステージ」「ライブハウス」それぞれに、「ブース・案内」「入退場」「演出」「ステージ」「総合評価」の5項目で採点した。
■ライブハウスやホールを再評価する必要性あり
国内の代表的なアリーナ会場で行われたライブの評価については、国立代々木競技場第一体育館が他の会場に比べて圧倒的に評価が高かった。大きく差を分けたのが、「ブース・案内」と「入退場」の項目。「ブース・案内」では、ファンクラブやグッズ販売ブース、係員の項目で評価が高かった。また「入退場」は、チケットの確認や荷物チェックに関して評価されたようだ。
次に、代表的なスタジアムで行われたライブの評価について。スタジアムは国立代々木競技場第一体育館ほどの差はないが、東京ドームの評価が高かった。一方気になったのが、京セラドーム大阪の評価。特に「ステージ」や「演出」でも、他の会場に比べて点数が低かったのが意外だった。今会場のライブを評価した人が参加したのは、合計24アーティストに及ぶが、押しなべて評価が低いというのは、その原因がどこにあるのか、詳しく調べてみる必要があるかもしれない。
では、会場のサイズ別に満足度を比較するとどうなるのだろうか。「ライブハウス」は会場によって観客数に大きな違いが出るので、今回は大規模会場のライブを評価した人に絞って集計したが、実はファンの満足度はこの「ライブハウス」が最も高く、次に「ホール」、「スタジアム」、「アリーナ」と続く結果となった。 ライブの満足度を大きく左右するのが、実は「入退場」の項目で、ライブハウスはその点で大規模会場に比べ、大きなアドバンテージを持っている。その点でポイントに差がつくのは理解できる。さらに観客数が少なければ、グッズ販売ブースでの購入も楽になるのだろう。グッズ販売ブースの項目のポイントも、他よりも高かった。
しかし一番驚くのは「演出」に関して。4タイプの会場のなかで、「演出」の評価が最も高かったのは、実はライブハウスなのだ。点差を分けたのが、見えやすさと盛り上がり感。ライブ評価の最も基本となる項目だが、今回改めて、それらがライブ満足度において最も大切であることに気づかされた。
2016年問題はおもに大規模会場の改修によるものだが、改めてホールやライブハウスの良さを見直す、いいきっかけにしたいところだ。
■調査概要/サンプル数:5889、期間:15年11月17日~30日、インターネット調査
※「ライブハウス」データは次の会場を対象とした。渋谷クラブクアトロ、名古屋クラブクアトロ、梅田クラブクアトロ、広島クラブクアトロ、赤坂BLITZ、Zeppブルーシアター六本木、Zepp Tokyo、Zepp DiverCity、Zepp Sapporo、Zepp Nagoya、Zepp Namba、Zepp Fukuoka、TSUTAYA O-west、TSUTAYA O-Crest、EX THEATER ROPPONGI
(コンフィデンス 16年2月8日号掲載)
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