新聞、テレビ、インターネットで、私たちは日々、たくさんのニュースに囲まれて過ごしています。
小難しい話ばかりで「どうやって読み解いたらわからない」「そもそもニュースなんて知らなくてもいいや」って思う人もいるかもしれません。
でも、例えば経済ニュースを見ると、「給料を上げるためにはどの業界に転職したら良いか」など、自分のマインドが変わったり、人生観が豊かになることがあります。
人生の疑問に答えてくれるかもしれないのが、日々のニュースです。ニュースを知れば、自分と違う生き方をしている人、学校や仕事で付き合う人と話しているだけでは分からない「世界の動き」が見えてきて、明日からの生活が変わるかもしれません。
そんな暮らしに役立つ「メディアの読み解き方」を朝日新聞GLOBE編集長の国末憲人さんとハフポスト日本版の竹下隆一郎編集長が解説。8月3日の夜、20人の読者がBlue Bottle Coffee中目黒店に集まりました。
国末さんは、朝日新聞の朝刊をもとに、新聞の読み方を解説しました。
「新聞は、量にして新書一冊分の情報があります。とてもじゃないけど、全部読むのは新聞記者でも大変です」
「新聞は1面から順番に読まなくても大丈夫。どこから読んでもいいですよ。関心あるところだけ読むのでも良いです。朝日新聞の場合は1面にインデックスという目次欄がある。そこから読みたいものを探すのもいいでしょう」
「新聞では、見出しの大きさで話題の大きさを伝えています。見出しだけを読むというのも一つの読み方ですね」
「新聞は、半日前の出来事が書いてあります。もし旅行から帰って新聞が溜まっていたら、1日前のものだけ読めば良いと思いますよ」
具体的な新聞の読み方に、参加者の人も頷くひとも多かったです。
また、国末さんからは、自身が編集長を務める『GLOBE』の解説もありました。
「GLOBEは月1回発行の新聞です。通常の新聞は半日前のことが載っていますが、GLOBEではもっと長いスパンでテーマを決めて書いています」
「『いま社会が、世界はどうなっているか』『日本を客観視すること』をGLOBEでは大切にしています。半年前にテーマを決めて、3カ月ほど取材・制作にかけています」
「モスクワからウラジオストクまで、シベリア鉄道でロシアを横断したことを記事にした回があります。鉄道に乗って、人々と話して、市民の人々がどういうことを考えているのかを伝えたかった。例えばモスクワはブランドショップがたくさんありますが、東に行けば行くほど歴史を遡ってソ連にいったような雰囲気になります。通常の新聞だと難しい、そんなロシアの姿を伝えました」
「テーマは記者の提案がメインです。編集後記とかから読んでも良い。通常の新聞とは違い、記者が目で見て感じたこと、主観も大事にしています」
ハフポスト日本版の竹下隆一郎編集長は、ネットメディアの読み解き方を紹介。新聞とは違った目線で、ニュースを見るポイントを話しました。
「ハフポストでは、会話が生まれるメディアを目指しています。いまは『#だからひとりが好き』という企画をやっています。つながり過多の時代にこそ、ひとりで過ごす時間を大事にしたいと考えるハフポストの記者個人の意見がきっかけではじまりました」
「書いた後、反応がすぐにみえるのがネットメディアの醍醐味です。さきほど紹介した企画でも『#だからひとりが好き』というハッシュタグをつけて、記事を掲載しました。そうすると、記事に共感した読者もハッシュタグをつけてSNS上で意見を表明してくれました。読者と一緒に記事を盛り上げることができる。これもネットメディアの醍醐味です」
「いまはTwitterやFacebookでニュースがたくさん舞い込んできますが、記事ごとにバラバラで、書いた媒体を知らずにニュースを読むことが多いと思います」
「そんな時代だからこそ、自分の好きなニュースサイトを見つけて、トップページから記事をじっくり見ることをあえてオススメしたいです。自分のペースで、ゆっくり体系的に読めますよ」
「いまは、記者もSNSで情報や意見を発信しています。誰かひとりで良いので、好きな記者を見つけるのも良いでしょう。その人がどんな記事を書いて、どんな記事をみているのか。個人のファンになると、新しい見方が見つかるかもしれません」
「NewsPicksというニュースアプリがあります。ここでは企業の経営者、実業家、学者、ジャーナリストなど沢山のひとがニュースについてコメントしています。どんなコメントをしているのかを読んでから記事を見ると、新たな視野が見えてきますよ」
「そしてニュースを見たら、今度は自分でSNSなどで感想を書き込んでみましょう。だんだん理解が深まるし、ニュースが目に入った時に、自分が知っている話か知らない話がすぐにわかる。得意分野を作るのもいいですよ。そのニュースについて思ったことをつぶやいて、ミニ専門家みたいになってみる。そうすると一気に視野が広がります」
新聞とネット、それぞれ違う立場から「ニュースの読み解き方」を解説した2人ですが、「情報がたくさんある時代だからこそ、情報が絞るのが大事」という共通点が見えました。
国末さんと竹下編集長が話したのは、「【初めてのニュース】Coffee with HuffPostJapan @ Blue Bottle Coffee」(主催:ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン株式会社/ブルーボトルコーヒージャパン合同会社)。ブルーボトルコーヒー中目黒カフェで8月3日に開かれ、20人が参加。「Coffee with HuffPostJapan」は今後もテーマや登壇者を変えながら継続開催していく。次回は今秋開催を検討中。