2016年4月14日、WWFは、クリーンコール等の呼称で呼ばれる高効率の石炭の活用が、国際的に求められている温暖化防止の目標達成に貢献しないことを明らかにした、新しい報告書を発表しました。この報告書『高効率の石炭技術は2度シナリオと矛盾』は、日本政府が推進する「高効率で」「低排出な」石炭火力発電所の技術が、「パリ協定」の目的である「世界の平均気温上昇を2度より充分低く、できれば1.5度に抑える(いずれも産業革命前と比べ)」ことの実現につながらない、矛盾した温暖化対策であることを示すものです。
高効率で、低排出な石炭火力発電所は、本当に有効な気候変動対策なのか?
この報告書『高効率の石炭技術は2℃シナリオと矛盾(原題:The Incompatibility of High-Efficient Coal Technology with 2 ºC Scenarios)』は、WWF EPO(ヨーロッパ政策オフィス)が、ECOFYSに委託して作成したものです。
高効率低排出石炭火力発電所の普及が、パリ協定の目的である「地球の平均気温上昇を産業革命前と比較して2℃より充分に低く抑える」という目的と矛盾することを示す内容で、特に、日本を含むいくつかの国々が近年、気候変動(地球温暖化)対策として推進していることの問題を指摘しています。
この報告書では、仮に、現在建設計画中の石炭火力発電所による発電量(1400GW)が、全て高効率低排出になったとしても、「2℃未満」の目的と矛盾する排出量となってしまうこと。またこれにより、高効率低排出型の石炭火発が、地球温暖化問題の根本的な解決策にはなりえないことを明らかにしています。
日本政府は、高効率低排出石炭技術を、気候変動(温暖化)対策として、国内および海外支援の分野において打ち出していますが、これがパリ協定の目的に沿わない以上、日本としての温暖化対策の在り方を抜本的に見直すことが求められます。
WWFジャパンではこの概要をまとめ、ウェブサイトにて公開しました。
報告書の日本語版も、後日公表予定です。