近年、日本のアーティスト、特にエレクトロニック系アクトやDJが海外に招聘され、称賛を浴びるようになってきました。
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近年、日本のアーティスト、特にエレクトロニック系アクトやDJが海外に招聘され、称賛を浴びるようになってきました。

以前までは、日本でも名が知られているアーティストのみといった印象でありましたが、今や日本ではそこまで知名度がなくとも、ヨーロッパ各国でライブやDJを行うアーティストが増えている状況です。一方、ダンス・ミュージックのメッカであるヨーロッパやアメリカと比べて、日本ではまだまだインディペンデントレーベル(特にダンス・ミュージック)の少なさを感じます。

筆者は、2005年頃からヨーロッパの方には毎年足を運んできましたが、その当時印象的だったのは、レーベルショーケースイベントが毎週のように行われており、そこにはたくさんのアーティストが集合していて、デモ・トラックの共有やプロモ盤の交換をしているという活気のある光景です。イベント以外のところでも同じような状況があり、リミックスのオファーやコラボレーションをしようという話が行われていたことを思い出します。

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DJ PI-GE 2016年南米ツアー ブラジル・フロリアーノポリスにて

ただレーベルを設立しようといってもやり方はさまざまであり、どう契約をすればいいのか?ディストリビューションにはどうアプローチをすればいいのか?英語がわからない、などといった高い壁があるのは事実であります。国内のみでのリリースであれば、海外と比べて相手が日本人だけということもあり、やり易さはあるかもしれませんが、それだと正直あまり意味がない。やはり、ダンス・ミュージックの市場が確立されている海外の人たちに届けてなんぼだと思っています。

10年前であれば、正直レーベルを設立して海外へも流通させるということは難しかったと思います。なぜなら、日本の無名のレーベルのためにディストリビューションは簡単には契約をしてくれなかったためです。もちろん、カタログが素晴らければ関係はないでしょうが、それはほんの一握りであり、実際に無名なレーベルと契約してわざわざ売り上げを海外送金しなければいけないといったことが、無駄な労力になると感じていたこともあったということを聞いたことがあります。

*ちょうどその時期はデジタルブームも訪れ、アナログは危機的状況でもあり、アナログディストリビューションでの契約が難しい時代でもありました。

しかし、今の状況は全く違います。冒頭でお伝えしたとおり、日本のアーティストの楽曲に興味を持つレーベルやリスナー、DJが増えているのは肌でも感じられる状況です。

渋谷のレコード屋テクニーク(http://www.technique.co.jp/)さんに至っては、海外へのディストリビューション部署が3年前にローンチ、そしてそこを利用した日本のレーベルがヨーロッパの有名レコード店のチャートで1位を記録するといった快挙が実際に生まれています。もちろん、その楽曲は素晴らしいものであり、素晴らしいレーベルです。いいアーティスト、楽曲はたくさん生まれていますが、それを今後どうやって広めればいいかについては、まだまだ課題が残るところです。

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テクニークでディストリブューションを行う日本のレーベルのレコード盤

昨年、DJ Sodeyama氏がRA Japan(https://jp.residentadvisor.net/)のインタビューの中で語っていた、「日本て特殊でさ。すごくパーティー文化っていうか、音楽文化ではなかったっていうか。パーティー(DJイベントを指す)を開催するということがとてもフォーカスされていた。(中略) よくよく考えたら、日本にはレーベルが少なかったし、曲を作るDJも少なかった。でもみんな必死にパーティーをやっていたじゃん」という言葉を思い出しました。

もし、そのパーティーをやっているチームがレーベルも同時にやっていれば、パーティーがなくなったとしても、その音源は今でも世界のどこかで販売されていることになります。その瞬間は売れなかったとしても、1年後、3年後にヒットするケースだってあります。ましてや和モノブームというのもあるくらい、80年代あたりの楽曲が海外でヒットしているケースもあります。

決して簡単にできるものではありませんが、昔よりはだいぶやり易くなっていると思います。方法はさまざまですが、我々としてはこのプロジェクトがそのきっかけになればいいと思いました。

昨年から始まった日本初のダンス・ミュージックに特化したカンファレンス「TOKYO DANCE MUSIC EVENT」(以下TDME)で、今回は「INTERLUDE from TDME」というオーディションを実施することになりました。グランプリにはレコードレーベルを設立してもらい、世界への流通やそのサポートを「INTERLUDE from TDME」の実行委員会で行います。

もちろん、レーベル運営は興味ありません、という方でも問題ありません。ただ「世界に流通させる」ということをメインの目的としたプロジェクトです。友人との共作でもいいので、どんどんトラックを作って送ってきて欲しいと思っています。

この機会に、あなたの作った楽曲が世界のフェスやクラブでプレイされる日、そしてプレイできる日が来ることを願っています。

INTERLUDE from TDME