4月10日まで開催中のディスプレイ見本市 ファインテック ジャパンより。中国の液晶メーカーBOEは、透明液晶ディスプレイを冷蔵庫に採用するデモを実施しています。BOEはこの液晶パネルをすでに量産しており、冷蔵庫を含めさらなる活用例を模索します。
BOEは中国に拠点を置く大手液晶ディスプレイメーカーです。
同出展は、BOEが中国で市場投入している「透明液晶ディスプレイ」を冷蔵庫のドアに採用したデモ。透明液晶ディスプレイ自体は目新しい技術ではありませんが、本製品の特徴はマルチタッチに対応し、インターネットに接続して動画を含むインタラクティブな情報表示が可能な点。ガラス越しに食品が透けて見えるなか、天気予報や動画を見たり、デジタルの付箋に手書きのメモを残せます。
表示解像度は1960×1080ピクセル。マルチタッチは赤外線方式を採用します。
またBOE担当者によると、他社製の透明液晶ディスプレイは透過率が4〜5%ほどですが、本製品は9%を達成しより透明に見えるとしています。
(展示の特徴)
(付箋に手書きでメモ)
(ナイトモードを選ぶと黒色表示で完全不透明に)
(食品の情報を表示した様子)
なおBOEは中国の家電大手ハイアールと提携し、透明液晶ディスプレイのさらなる活用例を模索中。具体的には百貨店のショーケースや車のフロントガラス、レストランの窓ガラスなど。また暗い色を表示すれば光を遮るため「窓ガラスに使えばカーテンが要らなくなる」と担当者は話します。ブース来場者からは「コンビニの冷蔵庫にこれを使えば面白い」との感想も寄せられていました。
気になるのは価格ですが、担当者によれば製造に特別な技術は不要で、通常の液晶ディスプレイに比べて格段にコストが高くなることはないそうです。
映像作品などで未来的な演出としてよく登場する透明ディスプレイですが、2015年現在あまり普及は進んでいません。しかし見本市会場では業界関係者の注目を集め、周囲には人だかりができていました。大型ディスプレイによるデジタルサイネージが急速に普及したように、ガラス窓のディスプレイ化も店舗向けなどで意外と普及するかもしれません。
BOEはこのほか、医療用の98インチ8K液晶ディスプレイを展示。178°の範囲でどの角度から見てもコントラストが変わらない広視野角が特徴。またフレームを白くし、手術室への設置がスムーズになるように軽量化。高さも調節可能です。担当者は医療向け8Kディスプレイの利点として『8K解像度で手術の様子を映すと先生が手術をしやすくなる』と語りました。
追記:8Kディスプレイの展示自体は目新しいものではありませんが、98インチ8Kの本製品を前にすると、ドットの一つ一つが識別できず、肉眼と見違える精細感ゆえか、2D表示ながら奥行きを味わえます。細部のディテールまではっきりと視認でき、これはなるほど手術もしやすいだろうなという感想を持ちました。
(2015年4月9日Engadget日本版「ドアが透明タッチ液晶の冷蔵庫、中国BOEがデモ。医療向け98型8K液晶も出展」より転載)
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