Internet Archive が、個人コレクターが遺した1000時間以上ものクラシック・ジャズコレクションを無償公開しました。デューク・エリントンやチェット・ベイカー、ルイ・アームストロングといった巨匠をふくむ初期のジャズレコード600枚以上がコレクターによる音声解説やライナーノーツつきでライブラリー化され、自由にダウンロード可能となっています。
このクラシック・ジャズ・コレクションは1991年に亡くなったレコードコレクター デヴィッド・W・ニーヴン氏の遺品。2010~2011年にかけて音楽ディレクターのケヴィン・J・パワーズ氏がリマスタリングし、デジタル化したものです。
ニーヴン氏は10歳のときに従兄弟に聴かせてもらった ルイ・アームストロング・ホット・ファイヴ の"My Heart"に魅了され、以降は新聞配達で稼いだ貯金でレコードコレクターとしての道を歩み始めました。別の従兄弟からはビックス・バイダーベックのレコードを紹介され、ビックスが1931年に死去するまでに全作品を収集、その後はデューク・エリントンなどを中心に巨大なクラシック・ジャズコレクションを構築していきました。
ニーヴン氏は1980年ごろから、自分の息子のうち誰かがいずれ、このコレクションを気に入るだろうと考えました。そしてコレクションをレコーディングされた日付、レコーディングスタジオ、演奏者、ソリストといった情報を整理してカセットテープにダビング、音声解説やライナーノーツを添付する作業を開始しました。
コレクションの中の、ベニー・グッドマン テープ3
結局、二人の息子はこのコレクションに興味をもつことはありませんでした。しかしその後音質的に問題がない音源はパワーズ氏によってデジタル化されることとなりました。リマスタリングされたデジタル音源はマサチューセッツ州にあるフォックスボロー高校のジャズ音楽科に寄付され、さらにInternet Archive にて公開されることになりました。
コレクションはブラウザー上での再生に加えてダウンロードも可能。iPhone などでもそのまま再生できます。クラシック・ジャズを難しいと思う人は多いかもしれませんが、いずれも聴きやすい楽曲ばかりが揃っており、仕事の BGM として流しておくのも良いかもしれません。
米国に限らず、こうした古き良き時代のレコードコレクションの多くはコレクターの死去とともに廃棄処分されることも多いとされます。できることならば今回のケースのように、その価値を見出せる人たちが受け継いでいってほしいものです。
(VISA: boing boing)
(SOURCE:Internet Archives)
(2016年3月14日 Engadget日本版「1000時間以上のクラシック・ジャズが解説付きで無料DL可能に。「子どもたちのために」コレクターがライブラリー化」より転載)
※2016年3月15日12時5分追記
元記事の情報ソースと参照した記事に関する情報を加えました
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