人生最悪の負けゲームから学んだことを武器にして、10億人のユーザー獲得を目指す男

Clarityというサイトをご存じだろうか。起業家たちにトップクラスの専門家のアドバイスを有料でもらうためのサイトだ。サイトのトップに、ある顧客の体験談としてこう記されている。「Clarityで100ドル使って専門家の電話アドバイスを受けたおかげで、30,000ドル(約300万円)の無駄なソフトウェアを購入せずにすんだよ」僕も自分のビジネスを始めたとき、肝心なことがわからなくて大いに悩み、相談する相手を探すことからとても苦労した覚えがある。
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 たとえば、「中年期の独立」を考えて何かの文章を書いて公にするとする。

(1)誰にでも独立できる可能性がある

(2)できるひともいるし、できないひともいる

(3)できるひとも稀にいるが、ほとんどはできない

 (1)か(2)の結論で書くと、たとえば本であれば売りやすいけど、(2)の場合は当たり前の結論なので注目を集めるのが難しい。

 しかも、(1)であれば、誤った独立を惹起して不幸を招く危険があるし、(3)であれば、本来独立できた人の芽を摘み取ってしまう可能性がある。

 だが、(2)だと、そもそも存在しないも同然となってしまう。

 たぶん、有名著者、評論家からブロガーまで、そういう葛藤はあるのではないかと思う。

 普段、僕は(2)のスタンスで書くことが多いのだが、今日は(1)よりのスタンスの話を書いてみたい。

 それもまた、じつは大好きなカナダのJustinさんの記事(When you can't win)の影響だ。

 さて、Clarityというサイトをご存じだろうか。

 起業家たちにトップクラスの専門家のアドバイスを有料でもらうためのサイトだ。

 サイトのトップに、ある顧客の体験談としてこう記されている。

 Clarityで100ドル使って専門家の電話アドバイスを受けたおかげで、30,000ドル(約300万円)の無駄なソフトウェアを購入せずにすんだよ

 僕も自分のビジネスを始めたとき、肝心なことがわからなくて大いに悩み、相談する相手を探すことからとても苦労した覚えがある。それに関する専門家の方をみつけてなんとか時間をとってもらうことも大変だし、そうしていただけたとして、どのようにその恩に報いれば良いのか悩む。

 Clarityでは、サイトで登録されている専門家の方を探し、アポイントをとることができる。3つまでの日時の予約ができ、確定したら、電話で専門家に電話をして相談する。料金は明示されている、「分」いくらで課金される。(詳しくはこちら

 日本にこのサイトと同じようなものがあるかどうか知らないのだが、とてもよく考えられた仕組みだなと思った。

 さて、このサイトも上述のJustinさんの記事で知ったのだが、このサイトをつくった

 Dan Martellさんの経歴が凄いのである。以下、Justinさんの記事からの要約である。

 (Justinさんのインタビューがこちらで聴ける)

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母親はアルコール中毒で、11才のときに里親に出された

両親は離婚し、Danさんはドラッグを始め、その売買も始めた

17才のとき警官と派手なカーチェイスをやって禁錮6か月をくらった

その後、彼はリハビリテーション施設に送られ、すべてが変わった

そこでコンピューターとプログラミングを発見したのである

「自分はいつも何かをつくって売っていて、その対象がドラッグだった。だが、リハビリテーション施設で違法でないものをつくることを学んだ。

そして、ドラッグを売ることで身につけたビジネスの洞察力が役に立つことを知った」(Danさん)

そのリハビリテーション施設の更正プログラムがうまくいっているのも、更生したかつてのドラッグ中毒患者たちをスタッフにしているからという事実に彼は気づいた

「Clarityは、かつて同じ悩みを持っていた人たち、かつて起業まもないところにいてさまざまな悩みをもっていた人たちのアドバイスを受けることができるところ、としてつくった」(Danさん)

彼は常識破りのスタートアップ方法をとった

エンジェルの資金提供を受けずに、プロトタイプ・サイトをみずから2日間かけてつくりあげた

最初や無料でやるほうが良いという起業家たちのアドバイスを無視して、最初から課金した

「世界は勇気ある決意に報いてくれるんだ」(The world rewards courageous decisions.)(Danさん)

 Danさんが警官に追い回されてついに逮捕された時、ヤクの売人が後ろ手に手錠をかけられているさまをあなたが目撃していたら、その青年がやがてClarityというサイトをつくり注目を集めることになるなどと想像できただろうか?

 「2022年までに世界10億人にポジティブな影響を与えることが我々のミッションだ」などと宣言することになると聞いて真面目に受け取れただろうか?

 彼は、最低の環境から、最悪の負けゲームを、見事にひっくり返したのである。

 しかも、負けゲームから学んだことを武器にして。

 みんなさまざまなハンディを背負って歩いており、負けゲームが続くこともある。

 だけど、ほんとうに負けてしまうか、そこから何かをつかんで、人生で意味のあることをするかどうかは、本人次第だと思うのだ。

 さあ、どうだろう。

 あなたはDanさんのこの話に何を感じるだろうか?

 Danさんの話から上のように言ってしまうことは、脳天気に過ぎるのだろうか?

 正直なところ、僕にもわからない。

 でも、はっきりしている。

 この話をどうとるかも、あなた次第ということだ。

 ちなみに、Clarityにサインアップしてみれば、Danさん本人に、さまざまな相談ができる。

 彼の料金は、16.67ドル/分(1分あたり約1660円)です!