契約に縛られ…語れない性暴力被害者に支援の声 「私が罰金払うから話して」

大物モデルがサポートを表明「一番大切なのは、闘うことだから」
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女性たちに対する性的虐待をしてきたことを認めた、アメリカ体操連盟の元医師ラリー・ナサール被告。

同被告に対する量刑を決める審理が1月16日に始まり、被害を受けた女性たちが被告から受けた性的虐待を法廷で語った。

しかし、被害者のひとりで2012年ロンドンオリンピックの体操競技で金メダルをとったマッケイラ・マロニーは、被害について語ると罰金を課される恐れがあった。

マロニーは、ナサール被告による性的暴行について、2016年にアメリカ体操連盟と125万ドルで示談している。この示談金にはナサール被告の性的虐待について話さないという秘密保持契約も含まれ、話した場合は10万ドルの罰金を支払わなければいけない。

マロニーはこの秘密保持契約を無理やり結ばされたと主張し、アメリカ体操連盟とオリンピック委員会、ミシガン州立大学を相手に、訴訟を起こしている。

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クリッシーテイゲン(左)とマッケイラ・マロニー
GETTY

この事実は、性的暴行と闘う女性たちの怒りに火をつけたようだ。モデルのクリッシー・テイゲンが、マロニーをサポートするというメッセージをツイートした。

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クリッシー・テイゲン
Eduardo Munoz / Reuters

クリッシー・テイゲン「一番大切なのは、闘うこと。マッケイラ、秘密保持契約のせいでこの140人が告訴しているモンスターの行為について話せないのであれば、私に罰金を払わせて欲しい」

このサポート表明に対し、マロニーは驚きと喜びを表明し、弁護士を通して、次のような感謝のコメントを発表した。

「私は現在、ソーシャルメディアを使っていません。だけどあなたのメッセージに答えられたら!あなたの寛大なオファーに、ただただ驚いています。あなたのメッセージは、私たち全員にとって大きな希望です。全く知り合いでない人が、それもずっと尊敬していた強い女性が、私の味方をしてくれる。言葉に表せない喜びです」

「あなたに本当に勇気付けられました。そしてあなたのような人たちのおかげで、状況は変わり始めています!罰金を払うかどうかに関係なく、声をあげることには価値があると感じています」

マロニーは2017年の10月に、ナサール被告から13歳から20歳で引退するまでの間、性的虐待を受けてきたことを明らかにしたが、この告白で罰金が課されたかどうかは不明だった。

マロニーに罰金を課すかどうかハフポストUS版がアメリカ体操連盟に16日に確認したところ、同連盟は「ラリー・ナサールによる被害を伝えるマロニーの勇気ある告発に、罰金を課したことはない」と回答した。また、現在行われている審理でマロニーが被害を話しても罰金を課すつもりはないと答えた。

ナサール被告の量刑審理は16日から19日まで続く予定だ。被告を訴えた女性の数は140人に上り、その中には、シモーネ・バイルズなどマロニー以外の有名なオリンピック選手も含まれる。

ナサール被告は2017年12月に児童ポルノ容疑で禁固60年の判決を受けているが、度重なる性的犯罪行為に、終身刑の判決を受ける可能性もある。

ハフポストUS版の記事を翻訳しました。