カール・マルクスはかつて、宗教は「人類にとってのアヘンだ」と言ったが、中国共産党は今、依存の可能性があるものを禁ずるように、宗教をすべて禁止しようとしているようだ。
宗教を信仰している人は、これまでも中国共産党に入党することが禁じられていたが、この禁止事項はこれまでは緩やかにしか適用されていなかった。しかし2015年1月、中国の浙江省の共産党指導部が、今後はこの規則を厳格に適用すると公表した。
この浙江省の動きは、中国各地の大学で思想的な締め付けが強まっている中で起きた。報道によれば、現在中国のさまざまな大学で、共産党を批判する意見を述べた教授が解雇されているという。そして先週、中国の教育大臣が「欧米的な価値を奨励する教科書を教室に持ち込むこと」を禁じることを表明した。
また2014年には、浙江省の温州市で、学校でクリスマスを祝うことを禁じる命令が出され、大きな話題となった。このときには、複数の大学のキャンパスで、クリスマスのお祝いを中止するよう求める学生のデモも散発的に起こされたが、このデモは、当局に支持されたものだったとされている。
北京のキリスト教会で行われたクリスマスイブのイベントにて。2014年12月24日撮影。
浙江省温州市で、違法建築物として破壊されたキリスト教会。
浙江省の党委員会は、公表した規則の中で、すべての入党希望者に対して、宗教上の信仰を持っているかどうか、また宗教へ関与があるかどうかを調査し、そのことを示す証拠が見つかった場合には入党を拒否すると明言している。さらに、党員が宗教を信仰していないことを調査するシステムを作るよう、共和党のグループに対して要求した。
中国共産党機関誌の国際版「環球時報」によると、共産党が運営する大学の教授は、宗教信仰者の党への参加を禁じるという浙江省の動きは、「欧米の敵対的な勢力が侵入すること」を防ぐことが目的だとの見方を示したという。
中国共産党には現在、8400万人を超える党員がいるが、その多くは学生時代に入党しており、政治的な活動への関与は、あるとしてもごくわずかだ。党に入るための競争率は高く、ただ忠誠を誓えばいいというものではなくて自分の履歴などを入党申請書に詳しく箇条書きして申請しなければならない。
中国共産党の政治思想はマルクス・レーニン主義に根ざしているが、この思想では宗教を、大衆を欺くものだとして非難している。
中国が「公式に」認めている宗教は、仏教、道教、イスラム教、プロテスタント、カトリックの5つで、政府が認可した宗教機関や施設でなければ、宗教活動を行うことは許されておらず、国の認可を受けていない施設で祈りを捧げている信者たちは定期的な取り締まりの対象となる。
仏教と道教は、中国文化に深く根ざしていることから国民に大きな支援を得ているものの、1960年代から70年代にかけて続いた文化大革命の時期には、これらの宗教の寺院でさえ、「迷信」や「封建主義的」考えの名残だとしてが荒らされたり壊されたりした。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:佐藤卓、合原弘子/ガリレオ]
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