中国の李克強首相は3月13日、「(環境)汚染問題に宣戦布告する」と述べ、PM2.5などの大気汚染物質の影響で深刻化している環境汚染問題に、強い姿勢で取り組む方針を明らかにした。MSN産経ニュースなどが報じた。
李克強首相は全人代での政府活動報告の中で、「貧困に宣戦を布告したように、汚染問題との戦いを断固として宣言する」とぶち上げた。そして今年の具体的な対策として、小型石炭ボイラー5万台の淘汰(とうた)、石炭火力発電所の脱硫改造1500万キロワット相当、脱硝改造1億3000万キロワット相当、集塵(しゅうじん)改造1億8000万キロワット相当、排ガス基準を満たさない車や旧式車600万台の淘汰、などを列挙した。
MSN産経ニュース「中国環境保護相『大気汚染はかなり好転した』発言に不満の声続出」より 2014年3月12日 11時08分)
中国の大気汚染の原因とされているPM2.5は、世界保健機関(WHO)の専門組織によって、最高レベルの発がんリスクがあると評価されており、早急な対策が求められてきた。日本でも、中国からの黄砂の飛来が多い日には、救急搬送の件数が多くなる傾向が確認されるなど、汚染の影響が懸念されている。
そのため中国は、環境破壊行為を行った企業などに対して、損害賠償や、操業停止など責任を追及する制度を導入し、対策を強化する。李克強首相は、「汚染物質の違法な排出などを政府は容赦しない」と述べ、厳しく取り締まる姿勢を強調した。
中国は環境汚染行為をめぐる責任を追及し、損害賠償を求める制度を確立するため環境保護関連法を改正する。開催中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で9日、張徳江・全人代常務委員長が活動報告を明らかにした。
同報告によると、改正法には「損害賠償制度、責任追及制度」が盛り込まれる見通し。環境破壊行為を行った事業者に対する操業停止・閉鎖命令といった罰則強化が見込まれる。
(ロイター「中国、環境汚染で『責任追及制度』導入へ=全人代常務委報告」より 2014年 03月10日08時44分)
■一方、経済成長率は去年の水準を維持
環境汚染を厳しく取り締まる姿勢を示した一方で、同時に経済成長の手を緩める意向はない。2014年度の経済成長率は、2013年度と同じ7.5%程度を目標とし、あくまでも経済と環境の両立を狙う。成長率を下げれば、雇用に影響し、社会不安を招きかねない、という懸念があるからだ。
環境汚染問題との戦いと経済成長の維持は、両立可能なのか。拓殖大学国際学部の藤村幸義教授は、次のような考えを示した。
汚染問題との戦いを宣言しておきながら、一方では相変わらず高度成長志向の考えから脱却できずにいる。汚染問題を解決するには、投資中心の高度成長路線そのものを改める必要があろう。これでは二兎を追うもの一兎をも得ず、ということになりかねない。
(MSN産経ニュース「中国環境保護相『大気汚染はかなり好転した』発言に不満の声続出」より 2014年3月12日 11時08分)
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