中国の軍事費、景気減速でも拡大へ 「強軍の夢、どの指導者より強い」

中国の習近平指導部は景気減速にもかかわらず、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)開幕日の3月5日に公表する2015年国防予算を堅調な水準に維持する方針だ。
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Reuters

[北京 17日 ロイター] - 中国の習近平指導部は景気減速にもかかわらず、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)開幕日の3月5日に公表する2015年国防予算を堅調な水準に維持する方針だ。米国のアジア回帰で不安が高まる中、軍事力強化の手綱を緩めることはないとみられる。

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中国は国防予算の詳細な内訳を公表していないが、複数の専門家によると、増額分は海軍の対潜艦増強や空母建造に充てられる見通しだ。

中国の昨年の国防予算は12.2%増の1300億ドルで、米国に次ぐ規模だった。過去20年間、ほぼ途切れることなく2桁で伸びているが、専門家の間では実際の国防費はさらに大きいとの見方が一般的だ。

中国指導部は急速な経済成長に伴い軍の近代化が必要だとして、国防予算の伸びを正当化している。だが、2014年の国内総生産(GDP)伸び率は7.4%増と24年ぶりの低水準だったほか、15年は7%前後に減速するとみられている。

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そうした中で国防予算の高い伸びを維持する理由は何か。専門家らは軍事・外交の軸足をアジアに移す米オバマ政権の「リバランス(再均衡)」政策のほか、習近平国家主席が進める軍に対する反腐敗運動を挙げる。軍の上層部に不安があるため、国防予算の増額でなだめようというわけだ。

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米ランド研究所はこのほど、中国人民解放軍は依然として深刻な問題を抱えている可能性があるとする報告書を公表。米議会委員会の委託を受けたこの報告書によると、中国は時代遅れの命令系統や兵士の質、腐敗に起因する弱点のほか、対潜戦といった戦闘能力に弱さを抱えている。

専門家は、人民解放軍はこうした弱点を認識しており、米国とその同盟国が支配し、中国が輸入する石油の8割が通過するインド洋や南シナ海での海軍のプレゼンスを引き続き強化するとの見方を示す。

オーストラリア国立大学国家安全保障カレッジのトップを務めるロリー・メドカルフ氏は、中国が軍用無人機や海洋偵察機向け予算を増やすのではないかと指摘する。

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嶺南大学(香港)の安全保障専門家、張泊匯氏は「習主席は中国の復興に向けた大戦略の中で『強軍の夢』を重視している。おそらく、どの現代中国の指導者よりもそうした思いは強いのではないか」と話す。

実際、複数の関係筋によると、中国人民解放軍は今年9月3日に大規模な軍事パレードを実施する方向で準備を進めている。