中国経済 景気下押し圧力は前年に比べて小さく、年間成長率目標達成はほぼ確実

先行きについては、緩やかに減速するが、通年のGDP成長率は6.7~6.8%を予想する見方が多く、本年の目標「6.5%前後」をクリアすることは確実視されている。

◇ 本年第1四半期の実質GDP成長率は前年比+6.9%と、前期(同+6.8%)を上回った。輸出(ドルベース)の伸びが15年1Q以来2年ぶりにプラスに転じたほか、固定資産投資が若干ながら回復し、消費も堅調を維持しているなど、各コンポーネントにおいて安定保持が確認された。

◇ 先行きについては、緩やかに減速するが、通年のGDP成長率は6.7~6.8%を予想する見方が多く、本年の目標「6.5%前後」をクリアすることは確実視されている。

◇ 日系メガバンクの幹部も「足許の景気は日本企業を含む誰に聞いても悪くない」。このため、「日本企業の中国ビジネスの概ね80%が好調」と語った。

◇ 変動相場制への移行は早くても再来年以降との見方が大勢。当面中国政府は構造改革推進と経済の安定保持を重視するため、短期的なリスクの高い政策は当面先送り。とくに今秋の党大会前はリスク回避が最優先されるとの見方が専門家の共通認識。

◇ 仮に米ドルが再びドル高方向に向かい、人民元安圧力が高まれば、金融当局は再び資本規制を強化する可能性が高いと予想されている。

◇ 昨秋以降、日本企業の対中投資姿勢が積極化している主な要因は、日本企業の中国ビジネスの半分を占めると言われている自動車関連産業の好調である。

◇ 2015年以降、日本の完成車メーカーは相対的に善戦しており、SUVを中心に販売好調が続いている。今後中国の中古車市場が急速に拡大する可能性が高く、それとともに日本車の中国における評価が高まり、日本車販売が伸びることが期待される。

◇ 本年もこのまま日本車の販売好調が続くと、年後半以降、さらに多くの自動車関連メーカーの能力増強投資が表面化する可能性が高い。

◇ 本年4月1日に中国政府は北京の首都機能を分散させることを主な目的として、北京の南約100㎞の場所に「雄安新区」を設立することを発表した。

◇ 「雄安新区」建設の主な目的は、第1に北京市の非首都機能の分散、第2に河北省の経済発展の促進である。新区に移転される非首都機能とは、国有企業、卸売市場、教育・研修機関、広域型医療機関、各種協会等サービス組織など。

◇ 政府内の専門家は、雄安新区には広東省や上海市が元々備えていたような産業基盤がないため、将来的にも深圳や浦東に並ぶ経済の中核都市にはなり得ないと指摘。

全文はキヤノングローバル戦略研究所のHPよりご覧ください。