◇ 本年第2四半期の実質GDP成長率は前年比+6.7%と、前期(同+6.7%)比横ばい。先行きは下期が6.4~6.5%、今年は通年で6.5~6.6%、来年は通年でも6.4~6.5%程度にとどまるとの見方が多く、経済は引き続き緩やかな減速傾向が続く見通し。
◇ 1Qの不動産投資促進策が1、2級都市で不動産販売価格の急騰を招いたため、3月下旬以降、投資抑制策が導入され、4~5月以降、不動産価格の上昇が止まった。
◇ 民間設備投資は、輸出の減少、重化学工業の過剰設備の削減、金融機関の厳しい融資姿勢、期待成長率の低下等を背景に、伸び率の減少が一段と顕著となっている。
◇ 消費は足許堅調を維持している。しかし、先行きは過剰設備の削減推進に伴って多くの工場が閉鎖され、大量の失業者が生じることから、労働需給が引緩むと見られる。このため賃金上昇率が低下し、所得の伸びが鈍化することを背景に、消費は緩やかながら伸び率が鈍化傾向を辿ると予想されている。
◇ 本年の鉄鋼生産能力削減目標4500万トンのうち、上半期に削減できたのは1300万トンと全体の30%程度にとどまった。政府高官は下期には過剰設備削減目標達成のために一段と注力していくと述べた。
◇ 5月9日付の人民日報に掲載された中国経済に関する権威人士の談話について、日本国内では、経済政策運営の基本方針に関して党指導層内部で意見が対立していると見る向きが多い。これについて中国の有識者の見方は、権威人士の談話は構造改革の精神を語ったものであり、これを短期的な経済政策に関する国務院上層部の政府公式発言と単純に比較するのは意味がなく、路線対立もないとの見方で一致している。
◇ ただし、足許の短期的な政策運営における景気対策の力点の置き方に関して若干の意見の相違が存在しているのは事実であり、その点について中国共産党上層部が国務院の政策運営に対して一定の不満を抱いている模様。
◇ 民間企業の設備投資が低下し、先行きの経済減速への不安が存在している状況下、中国政府のイノベーション、新規事業を通じた経済活性化重視の姿勢がますます強まっている。それとともに、高い技術力を持つ日本企業との提携強化、地方政府による誘致姿勢積極化の動きは勢いを増していくと考えられる。
◇ 主要国の対中投資が急増する中、日本企業に変化が見られていない状況は「世界中のトップクラスの競技者が中国で開催されている五輪で技を競い合っている中、日本選手だけが五輪への参加をボイコットしているような印象」と指摘されている。
全文はキヤノングローバル戦略研究所のHPよりご覧ください。