中国の若者たちの「日本化」が新たなビジネスチャンスを生んでいる。
現地証券会社の研究機関「国金証券研究所」によると、2億2000万人にのぼる中国の独身男女の間で、貯金や結婚を重視せず、自分のために金を使う若者が増えているという。
■お見合いの圧力から逃げ...好きに金を使う毎日
実家からお見合いをして身を固めるよう度々勧められているが、ファッションや高級化粧品、それに飼っているペットに好きなだけ金を使える今の生活がどうしてもやめられないという。
バレンタインを間近にしたこの日は、恋人がいない寂しさを紛らわそうとデリバリーでご馳走をオーダーした。
3枚のクレジットカードを頼りに、好きなものを着て食べる毎日。ボーナスは全てカード会社への返済に充てたという。
■独身男女に新傾向 自分の楽しみに金を
中国にある研究機関「国金証券研究所」の報告によると、中国ではここ数年、給料を貯金や結婚に回さず、自分の楽しみのために使う若者が増えているという。
2017年時点で、独身男女の数は日本の人口の倍近い2億2000万人。その中でも特に1985年から95年に生まれた20~30代の若者にこうした傾向が強いとしている。
ファッションや旅行、それにネットゲームへの大量課金などその使い道は様々で、中国の通販サイトでは、コンパクトに設計された一人用の電子レンジや洗濯機の売り上げが急成長しているという。
国家統計局の発表によると、長年続いた一人っ子政策の影響で、中国では男性が女性より3000万人ほど多くなっている。
必然的に大量の独身男性が生まれるため、独身者は今後も増えていくと予想されていて、「お一人様市場」は今後も拡大しそうだ。
■「日本に近づいている」
なぜこうした若者が増えているのか。「国金証券研究所」の報告では背景の一つとして、若者を取り巻く環境が「かつての日本に近づいている」ことを挙げている。
結婚や出産、それに教育費など、子供を養いながら生活するためのコストが年々高くなっているため、若い世代が次第に結婚自体を敬遠するようになったと指摘し、その代わりにゲームやアイドルなどで「より簡単に満足感を得られるようになった」と分析している。
このチャンスに、日本の企業が付け入る隙はあるのだろうか。横浜企業経営支援財団上海代表処の首席代表も歴任し、日本企業の中国進出を支援してきた斎藤信明さんは、「中国でも女性の社会進出が進んでいて、今後もお一人様市場は拡大するだろう」と予測している。
その上で、「単身者は自分磨きにお金をつぎ込む傾向がある。中国で評価の高い化粧品や楽器などは伸びていく余地がある」と話している。