今回の衆院解散を、安倍首相は「アベノミクス解散」として、これまでの経済政策の是非を問う選挙と位置づけたが、少子化対策や社会保障はどうなるのか。増税先送りによる財源不足は、政策実施に影響するのか。以下にまとめた。
■少子化対策、「子ども・子育て支援新制度」財源は“つなぎ国債”に
新制度は、2017年度までに、40万人の保育の受け皿を確保することを柱としている。幼稚園や保育園を統合した「認定こども園」や、小規模保育、事業所内保育なども国の補助対象とし、待機児童の解消を目指す。2015年度からの実施に向けて、全国の自治体が準備作業に入っている。
新制度には、1兆1000億円の財源が必要とされていたが、財源4000億円のめどが立たず、消費増税分から確保する7000億円でできるメニューに絞り込んだ支援制度となっていた。増税先送りにより、単純計算でさらに2800億円が不足する見通しだ。
政府は、増税を先送りする間の財源として、「つなぎ国債」を発行する方向で調整している。つなぎ国債は、償還確実な財源がある場合に発行できる。10%に引き上げられたときの消費税を財源に充てる予定だという。
つなぎ国債は、赤字国債の一種だが、財務省は「確実に償還されるので国の財政収支で赤字と計算しない」としている。ただ、消費税再増税のさらなる先送りが困難になる。
(「子育て支援新制度」財源に「つなぎ国債」 消費税再増税先送りに伴い 産経ニュースより 2014/11/18 05:57)
■社会保障の充実、財源確保が困難 スケジュール見直しへ
一方、「子ども・子育て支援新制度」は予定通り実施されても、医療・介護など他の「社会保障の充実」については、実施時期が遅れる可能性が高い。政府は社会保障の充実に1兆8000億円強を充てる方針だったが、増税先送りで1兆3500億円程度しか財源を確保できなくなる。
安倍首相は、社会保障財源の確保が厳しくなることを踏まえ「給付と負担の関係からすべて行うのは難しい」として「引き上げを延期する以上、社会保障を充実させるスケジュールも見直しが必要だ」と語った。
経団連は17日、政府に対し、高齢者向けの政策から少子化対策の政策に、予算配分の見直しを求める提言をまとめている。
具体的には、後期高齢者医療制度で年金収入が一定水準以下の人などを対象に保険料が軽減されている特例措置を撤廃することや高所得者の年金支給額を減額することなどで財源を捻出し、保育士の給与引き上げや小学生の子どもを預かる「放課後児童クラブ」の時間延長の費用などに充てるべきだとしています。
(経団連が提言「少子化対策に重点を」 NHKニュースより 2014/11/17 04:20)
■Twitterの声
解散総選挙を受けて、「子ども・子育て新制度」などの少子化対策や社会保障について、Twitter上には、様々な声が上がっている。
選挙の争点が株価、経済だけで論じられるっていうのはかなり危い気がするなあ。地方のコミュニティーの空洞化をどうするのか、少子化対策はどうするのか、外国との貿易で規制緩和を進めるばかりで良いのか、アベノミクスの光ばかりを追って陰の部分はなおざりで良いのか。
— だびっど (@david_12080623) 2014, 11月 20
【関連記事】
ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています。
ハフィントンポスト日本版はTwitterでも情報発信しています。@HuffPostJapan をフォロー
関連記事