お母さんはがんばっていて当たり前。赤ちゃんの世話に追われて時間がないのも仕方がないこと。私も母親とはそういうものだと思っていました。確かにそんなお母さんは立派だけれど、本当にここまでがんばっていなければならないのだろうか、親が立派でなくても子供に笑顔でいられる余裕があった方が、子供も幸せなのではないか。
ただの一人の母親に過ぎない私が海外で思ったことに対して、いろいろな方の意見を聞いてみたいという思いがあり、「母親は時間がなくて当たり前、ではない」というタイトルの記事を書きました。実際、記事に対して、いろいろ考えさせられるコメントをいただきました。
日本とオランダ、父親の立場が全く違った
この記事は母親に焦点を当てていましたが、実は父親の扱いが問題でした。
私はオランダの育児ガイドを記事で引用しましたが、引用箇所だけでなくさらに読み進めると、ここで自分の時間を持つことが必要と呼びかけられている「あなた」は、母親だけでなくパートナー、父親も含まれていることに気づきます。母親と父親両方が少しの時間でも子供を預けてリフレッシュする時間を持ちましょう、というのが育児ガイドの内容でした。父親も母親同様に赤ちゃんの世話に追われていて大変、という前提があるのです。
これは日本の状況とちょっと違う、と私は考えました。海外の話を紹介しても日本と状況が違って参考にならない、と言われては面白くないので、私は自分の経験を持ち出して、オランダの育児ガイドから離れた自分の意見を入れることにしました。
赤ちゃんの世話を父親に見てもらって、母親も少しリフレッシュするのはいいことではないでしょうか。
日本では父親の育児参加がこれからもっと増えていく段階ではないだろうか、と私が思ったので、このような意見発信をしました。この意見に対して、違う認識の意見をいただけたら父親の子育て参加は進んでいることになるだろうという期待もありました。
やっぱり父親は仕事?
父親は母親と育児を一緒にする立場なのだから、母親が父親に頼む、という感覚自体がおかしいのではないか
というコメントをいただきました。もっともな意見です。このような考え方こそが当たり前であってほしいと思いました。
しかし、いただいた他のコメントを拝見していると、父親が一緒に育児をする立場にいるというよりは、
父親は仕事が忙しくて育児に関われない
という現状であり、赤ちゃんをめぐる環境をよりつらくしているように感じられました。父親は仕事に追われ、母親は育児に追われ、私の想像以上に家庭は孤独であったようです。
父親の育児休暇が当たり前だったら
私が所属している会社では男性の育児休暇取得率が高いそうです。ここ数年ではほとんどの男性社員が取得しているとのことでした。弊社男性社員の育児休暇は、大抵の場合数週間から数か月、完全に休暇を取るというより週の半分くらいは仕事をするというパターンもあるようです。
ちょうど子育て世代の社員が多いベンチャー企業なので高い取得率が実現できているのかもしれません。しかし、仕事そのものというより企業文化次第で、意外と育児休暇は定着するのではないかと思います。
正直なところ、この話を聞いた時私は特に何も思いませんでした。所詮、子供が生まれてからの数週間だけ、夫が休暇を取ったからって数週間では子育てについて何も終わらないし、むしろそれで「イクメン」だと恰好だけになるのもかえって面倒、とさえ感じていました。
でも、今回記事を書いてみて、自分は間違っていたと考えるようになりました。赤ちゃんが生まれて数週間だけでも、仕事より赤ちゃんを優先できる生活を送ること自体、仕事に忙しい父親にとっては貴重な経験になるのではないでしょうか。育児に対する価値観を夫婦で共有できる機会になりますし、短期間でも家庭内が孤独でなくなります。
数週間の父親の休暇ですべてが解決されるわけではありません。でも、たとえ恰好だけであったとしても、いいきっかけにはなるのではないか、と考えるようになりました。そういうきっかけから、赤ちゃんをめぐる家庭や会社や、社会そのものが変わるかもしれないと。
父親も育児休暇を取って当たり前、というのはどうでしょうか。