児童虐待、初めて年間7万件突破 23年連続で過去最多を更新

全国の児童相談所が2013年度に対応した相談件数(速報値)は、7万3765件で、統計を取り始めた1990年度以降から23年連続で過去最多を更新し、初めて7万件を突破した。厚生労働省が8月4日公表した。
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全国の児童相談所が2013年度に対応した児童虐待の相談件数が、23年連続で過去最多を更新した。速報値は7万3765件。統計を取り始めた1990年度以降初めて7万件を突破したことを、厚生労働省が8月4日公表した

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児童相談所での児童虐待相談対応件数の推移(厚生労働省)

自治体別で最も多かったのは、大阪府の6509件(前年度比430件増加)で、次いで多かったのが東京都の5414件(同626件増加)、千葉県の4561件(同600件増加)、埼玉県の4119件(同352件増加)などだ。

児童相談所長が虐待防止のために、親権停止を家庭裁判所に申し立てられる制度があるが、2013年度に親権停止の申し立てがあったのは16自治体で23事例だった。子どもの病気の治療を拒んだ事例や、父親による性的虐待などのケースがあった

厚労省が2013年8月、虐待通告のあった子どもにきょうだいがいる場合、きょうだいも心理的虐待を受けたと考えて対応するように通知していたことも件数の増加に影響しているという。毎日新聞が報じた。

同省は昨年8月、虐待通告のあった子供にきょうだいがいる場合、きょうだいも原則として48時間内に安全確認するよう自治体に通知した。警察からの通告について同省は「配偶者間暴力への対策を強化していることを背景に、父母間の暴力を目撃したことによる心理的虐待の通告が増えている」としている。

(毎日新聞「児童虐待:相談7万件超え 調査開始以来初 13年度」2014年08月04日)

■児童相談所は人員不足に

相談件数が増え続けたことで、児童相談所は慢性的な人不足に悩んでいる。厚労省は虐待の通告から48時間以内に子どもの安全を確認すべきであると通知しており、この初動の負担が大きいのだという。MSN産経ニュースが次のように伝えている。

「現場に足を運ぶのに必要なのはマンパワー。人員が足りずに苦慮している」と話すのは、管内に8市を抱える滋賀県中央子ども家庭相談センターの担当者。最も遠い自治体までは車で約3時間かかるという。(中略)

厚労省によると、全国の児童相談所に配置されている児童福祉司の数は25年4月時点で2771人。15年と比べると約1・6倍となったが、虐待対応件数の増加に追い付いていない

(MSN産経ニュース『児童虐待、通告から「48時間以内」は負担 児相、初動のマンパワー不足』2014/08/04 13:28)

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