こんにちは、木曜日担当のPlus Action for Children 高畑です。
昨日より10月、新たな月が始まりました。そして、水ぼうそう(水痘)が、予防接種法による定期接種A類となりました。
(成人用の肺炎球菌ワクチンも、定期接種化されています)
私たち保護者の世代にとっては、自分自身が水痘ワクチンを接種した、という経験はあまりないのではないでしょうか。
私が生まれたときには、まだ水痘ワクチンは存在しませんでしたし、私は水痘に罹患しています。
水痘といえば「ぶつぶつができる」「一度罹れば免疫ができて二度と罹らなくなる」といった特徴をもつ、ありふれた感染症というイメージが一般的ではないでしょうか。
中には、「小さなうちに罹って免疫を得ていたほうが良い」と考えて、近所で水痘にかかったお子さんがいると聞くと、わざわざ我が子を連れて行ってうつしてもらってくる、なんていう方もいるくらいだそうです。
しかし、水痘は侮ってはいけない感染症です。
「年間罹患数100万人程度に対し、最低でも4000人程度が重症化により入院し、20人の死亡者数が出ると推定できる(水痘ワクチンに関するファクトシート:厚生労働省)」
とあるように、重症化、死亡等のリスクは決して小さくありません。
大人になって発症する帯状疱疹も、過去に罹患した水痘のウイルスが体内に残っていることが原因のひとつとなりますし、水痘は単に「ポピュラーな感染症」にとどまらず、ましてや「罹ったほうが良い」疾病でもなく、積極的に「予防」すべき感染症です。
また、罹患者数がかなりの多数に及ぶことからもわかるように、水痘は感染力が強い感染症です。
そのため、小児科病棟等にウイルスが持ち込まれると、ただでさえ様々な疾病などの治療中で免疫力が低下している入院患児の間で集団感染が生じる危険性があります。
入院患児においては重症化等のリスクが高くなるため、小児病棟に水痘ウイルスを持ち込むことは絶対に防がなくてはなりません。
「自分が子どもの頃は、水痘ワクチンなんて接種しなかったし、自分自身も周囲の人たちも多くの人が感染したし、重症化もしなかったし。だから接種しなくても良いんじゃない?」、と考えてしまうかも知れません。
しかし、先に書いたように、水痘は決して侮ってはいけない感染症です。
水痘ワクチンが存在しなかった時代、定期接種化されていなかった時代と比べることに意味はありませんし、そういった時代背景における自分自身の経験は、接種を見送る理由にはなりません。
子どもたちを水痘から守るために、水痘と水痘ワクチンの定期接種について、ぜひ情報を得ていただければと思います。
【実は...】
上の赤字の部分は、私が長男についてかみさんから「水痘ワクチンの任意接種、受けたほうが良いかなぁ」と相談されたときの、私の回答です。
長男が細菌性髄膜炎に罹る前のことで、子どもたちの予防接種や感染症に、特段の興味を持っていないときのことでした。今となっては本当に「恥ずかしい」考え方です。
ちなみに、長男は水痘ワクチンを接種しています。
今の活動を行うにあたり、恥ずかしい過去も見つめなくちゃと思い、長男の母子手帳を確認したところ、既に接種してありました。
かみさんは私の意見は採用しなかったんですね。
喜んでよいのやら悲しんでよいのやら...。
でも、長男にとっては、喜ぶべきことでしょうね(^^;
【市民公開講座のお知らせ】
■10月5日(日)
「『ワクチンを知って、子どもを守ろう』市民公開セミナーin千葉2014」
■11月9日(日)
木曜日担当・高畑紀一@一般社団法人 Plus Action for Children
2004年、当時3歳だった長男がインフルエンザ菌b型(Hib/ヒブ)による細菌性髄膜炎に罹患、「今晩一晩が山」という状況に陥る。
幸い、奇跡的に回復することができ、「運悪く稀な病気に罹り、運良く回復できた」と考え、それ以降は病気のことを考えない、思い出さないようにして日々を過ごす。
そ の後、ヒブによる細菌性髄膜炎がワクチン(ヒブワクチン)で防ぐことができる疾病であること、2004年当時、既に多くの国々でヒブワクチンが導入され子 どもたちが細菌性髄膜炎から守られていたことを知り、「運悪く稀な病気に罹った」のではなく、ワクチンで防ぐことのできる疾病から守ってあげることができ なかった、自分自身を含む大人たちの不作為で生死の淵を彷徨わせたのだと後悔する。
この経験をこれ以上、繰り返さないため、ワクチン後進国と揶揄されるわが国の状況を改善し、子どもたちがワクチンで防ぐことのできる疾病から守られる環境を整えるため、活動に参加。
その後、ワクチン・予防接種だけにとどまらず、子どもたちを取り巻く環境を改善するため、そしてそのために行動する大人を支援するため、「一般社団法人 Plus Action for Children」を設立、現在に至る。
(2014年10月2日ムコネットTwinkle Daysより転載)