Amazonプライム・ビデオで配信中のドラマ「チェイス」が、清水潔さんのノンフィクション「殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件」に似ているとの指摘が相次いでいる。これを受けて版元の新潮社と清水さんは12月28日、ドラマには何も関知していないとする声明を出した。
■「殺人犯はそこにいる」とは?
栃木県足利市、群馬県太田市という隣接する2市で、4歳から8歳の5人の少女が誘拐または殺害された。その中の一つが、あの「足利事件」だ。「殺人犯はそこにいる」は、清水さんが一連の事件を追ったノンフィクションだ。2016年に発表された。
新潮社の作品紹介によると、清水さんが直面したのは、杜撰な捜査とDNA型鑑定の闇、そして司法による隠蔽だった。執念の取材で冤罪が判明した「足利事件」の菅家さんを釈放へと導き、真犯人を特定するも、警察は動かない。事件は葬られてしまうのか。5年の歳月を費やし、隠された真実を暴きだす衝撃作だという。
■「チェイス」とは?
映画.comによると「チェイス」は、大谷亮平と本田翼がダブル主演するサスペンスドラマ。27年前に起こった未解決事件を含む5つの連続幼女殺人事件の真相に迫るという内容だ。12月22日から配信開始した「第1章」は全7話で、毎週金曜日に1話ずつ更新されるという。
■ネット上で指摘相次ぐ
「チェイス」の配信が始まると、清水さんの著作に似ているという指摘がネット上で相次ぐことになった。
Amazonプライムビデオで昨日から配信が始まった『チェイス』を視ているが、以前読んで深く印象が残った #清水潔氏の著書「殺人犯はそこにいる」を模倣したとしか思えないドラマ内容にもかかわらず、完全オリジナルドラマと謳い清水潔氏のクレジットは無かった。
— 吉田 美泉 (@yoshimizu_y) 2017年12月23日
アマゾンprimeの「チェイス」を視聴。面白い...が、これ間違いなく清水潔さんの『殺人犯はそこにいる』がベースになっているとしか思えない内容だった。盗用となると話は別。なぜこうなったのか。
— Tad (@CybershotTad) 2017年12月30日
こうした指摘を受けて、出版元である新潮社が公式サイトで28日、以下のような声明文を発表した。
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Amazonプライム・ビデオにて、2017年12月22日より「チェイス」なるドラマが配信されています。
そのドラマに関して多くの皆様から、弊社より刊行している清水潔氏の著作『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』が原作なのではないか、との問い合わせを頂いておりますが、弊社および清水氏はドラマ「チェイス」の制作について何ら関知いたしておりません。
なお『殺人犯はそこにいる』の映像化につきましては、書籍発売後から数多くのお話を頂戴しておりますが、事件の被害者であるご遺族の感情に配慮し、弊社および清水氏は慎重を期して検討を進めております。
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著者の清水潔さんも同日、「私はこの件は全く聞いておりません」と、ドラマと無関係であるとTwitter上で説明している。
■「チェイス」の共同プロデューサー「想いがはやり過ぎたかもしれない」
「チェイス」側からの公式声明は今のところ出ていないが、ドラマの共同プロデューサーを務めている四宮隆史さんが12月30日、清水さんに向けた連続ツイートで釈明した。
四宮さんは『殺人犯はそこにいる』を読んで衝撃を受けたと告白。未解決事件について抱いた問題意識をドラマで表現することで、真相解明に向けた糸口が見つかるかもしれないという想いから、ドラマを企画したと述べた。
そして、「未解決事件の真相解明に向けた動きの一助になれば、との想いがはやり過ぎたかもしれないと反省しております」と綴った。