シャンゼリゼ通りで銃撃事件が発生後、警察が警戒にあたる。CHRISTIAN HARTMANN / REUTERS
フランスの首都パリの繁華街シャンゼリゼ通りで4月20日午後9時ごろ、警察官3人が撃たれ、1人が死亡、2人が重傷を負った。容疑者はその場で射殺された。
フランスの捜査当局はテロ事件として捜査し、フランソワ・オランド大統領は、「完全にテロリストの犯行だ」と断定した。
過激派組織IS(「イスラム国」)は、「ISの戦闘員が実行した」と、事実上の犯行声明を出している。
当局によると、容疑者がこれまで過激主義者の要注意人物としてマークされていたという。
一方、警察はもう1人の容疑者の逮捕状をとり、行方を追っている。
今回の銃撃は、23日に行われるフランス大統領選の第1回投票を目前にして起きた。
フランス内務省は、今回の銃撃がシャンゼリゼ通りを警備していた警察官を「意図的に」狙った犯行だと述べた。
内務省の広報官は、「男は車から出て、警察車両に銃を撃った」と説明している。
警察は現在、シャンゼリゼ通りを封鎖し厳重な警戒にあたっているが、「ほかの繁華街では特別警戒態勢は敷いていない」と述べた。
犯行動機については情報が錯綜しており、強盗の失敗といった報道もあった。
ジェンティローニ首相との共同会見で銃撃事件について語るトランプ大統領。KEVIN LAMARQUE / REUTERS
アメリカのドナルド・トランプ大統領は、イタリアのパオロ・ジェンティローニ首相との共同会見でパリの銃撃事件について触れ、「別のテロ攻撃のようだ」と述べ、フランス国民に哀悼の意を表明した。
「再び、再び起きてしまったようだ。私も行ったことがあるところだ。恐ろしい。今の世界でこんなことが起きるなんて、とても、とても恐ろしい。テロ攻撃のようだ。何と言えばいいのか。きりがない。我々は強くならなければならないし、用心深くならなければならない。私がずっと言ってきたことだ」
「アイネス」とだけ名乗った目撃者はフランスのテレビ局「BFM」に、「銃撃音が聞こえ、男性が地面に倒れているのが見えました。その場所からすぐに避難するように、警察に言われました」
チュニジア生まれの石工で、パリ在住30年のバディ・フタイティさん(55)は、「ある警官が、『仲間が1人撃たれて死んだ、ほかにも負傷者がいる』と語っていたが、パニックにはなっていませんでした。しかし通行人たちはみんな走って走って…何人かは叫んでいました」と語った。
「今回の銃撃は、トランプ氏が言ったように、もはや"パリはパリでなくなってしまった"証拠なのか」と尋ねられたフタイティさんは「アメリカ大統領は見当違いのことを言っている。パリはパリだ。アメリカはアメリカじゃなくなくなっているけどね」
銃撃が発生した後、警察がシャンゼリゼ通りを警戒している。CHRISTIAN HARTMANN / REUTERS
パリ警察とフランス軍が銃撃があったシャンゼリゼ通りを封鎖し、観光客にはホテルに戻るよう伝え、現場に近づこうとする人たちを遠ざけた。
普段は多くの観光客や車でひしめき合うシャンゼリゼ通りは、凱旋門からチュイルリー庭園までの広範囲で警戒車両によって封鎖された。
現場周辺の地下鉄の駅も封鎖され、警察が警戒にあたっている。
2015年11月13日のパリ同時多発テロ事件など、ここ数年イスラム過激派のテロが相次ぐパリでは治安部隊がより広範囲に展開しており、現在も非常事態宣言が解除されていない。
ハフィントンポストUK版より翻訳・加筆しました。
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