センターリサーチをどう見る?

センター試験後の戦略を知らない受験生や教師、親御さんが非常に多いように思うのです。
|

鍵本です。寒い日が続きますね。まあ寒い日もたまにはないと(笑)

さて、センター試験が終わって、国公立大学受験生の多くは悲喜こもごもなことでしょう。

予備校講師時代から、センター試験直後から「センター試験で失敗したんだけど、どうすればいいのか」という相談に乗り続けてきた私が、ここで少し一般論ではありますが、センターリサーチの結果をどう見るべきか、少し解説したいと思います。

正直このネタは若干「商売道具」でもあるのですが、今から書くことを知らない受験生や教師、親御さんが非常に多いように思うのです。

まず一番多い相談が「センター試験で少し失敗して、志望大学の判定がD判定orE判定だった。挽回可能か?」というもの。まあ予備校が出している判定でEが出てたら望みはかなり薄いですが、E判定で合格する学生も決していないわけではありません。学生もそこにすがりたいんだと思います。

そこで、CDE判定だった学生さんに、まず次の決定的事実をお知らせしたいと思います。

定理1: センター試験でボーダー(B判定とC判定の間)の点数を取った学生が、大学ごとのランク偏差値の学力を持っていたとして、合格する確率は50%。

この定理1が意外とわかりにくいので、少し見方を変えると次の定理2になります。

定理2: センター試験でボーダーの点数を取り、2次試験で大学ごとのランク偏差値ぐらいの点数をとれば、その大学・学部・学科の入試で大体合格最低点になる。

そこでまずは、志望校ごとの傾斜配点で点数を計算して、ボーダーの点数との点差を計算してください。

仮に●●大学▲▲学部のボーダー点が400点満点で300点、自分が270点でE判定に近いD判定だったとしましょう。するとボーダーとの点差は30点差ということになります。30点なんてすぐじゃないか!2次試験で配点は800点もあるんだぞ! と考える人が非常に多いのですが、それは早すぎます。

次に2次試験での作戦をたてましょう。ここで過去の模擬試験などで大学のランクごとの偏差値を調べればいいのですが、おそらくその偏差値は決して高いものではないでしょう。もしその偏差値が大学のランク以上に高い人は、たいていセンター試験を大きく失敗した人なので、2次試験の比率が高い大学であれば、じゅうぶん2次試験で挽回して合格する可能性が高いです。

現役の高校3年生などは、過去の模擬試験を受験した段階で、まだちゃんと履修分野をじゅうぶん理解できてなかった可能性もあるでしょう。あるいはそもそもあまり模擬試験を受験しなかったという人もいるに違いありません。

そんな人はぜひ、いわゆる赤本や大学の入試要項などの資料で、合格最低点を調べてみましょう。たいていは発表されているはずです。

例えば先ほどの●●大学▲▲学部の2次試験の配点が800点満点で、合格最低点が合計1200点満点で780点だとしましょう。すると、自分は2次試験であと何点取らないといけないか、ということがわかります。

ここで自分はセンター試験で270点を取ったわけですから、780点-270点=510点ということになり、一方ボーダー付近の学生は300点を取ってるので、780点-300点=480点とればいいことになります。もしも●●大学▲▲学部の偏差値ランキング(まあこの値も大雑把なものではあるのですが)が57.5~60.0となっていたとしたら、過去の模擬試験で57.5~60.0ぐらいの点数を取っていた学生なら、だいたい480点取ってくるだろうということです。

すなわち、自分はその偏差値の点数=実力を入試当日までに30点上回らねばいけないということ! 当たり前の法則です。2次試験までの1か月の間にそれができるのであれば挽回は可能ですし、できなければ挽回は不可能です。

30点をどこで上回れるか? ここで定理3が登場します。

定理3: 2次試験の科目・配点によって、挽回できる確率は変わる。難しい問題を出す学校ほど、自分の得意科目の配点が高いほど挽回の可能性はあがる。

これも当たり前のようでいて、難しいのです。例えば2次試験の800点満点の内訳が、英語300点、国語300点、社会200点だとして、どこで偏差値57.5~60.0の学生を30点上回りましょうか? そもそも自分がまだ57.5~60.0の偏差値に到達してないとして、1か月でその実力に到達するのも大変なのに、さらにそこから30点を上回ることは可能なのでしょうか?

過去問を見てください。この学校の英国社の問題でその点数を余裕で取る自信があれば、いけるかもしれません。逆にそれがきつそうだとすれば、かなり苦戦するでしょう。その学生がどういう理由でどれぐらいの熱意で●●大学▲▲学部に行きたいのかにもよるのですが、私なら「●●大学▲▲学部じゃなくて、もう少し挽回の可能性がじゅうぶんある■■大学▲▲学部のほうがいいんじゃないか」という話をする気もします。

一方、●●大学▲▲学部が理系で、英語200点、数学400点、物理200点とかで、英語と物理は簡単なんだけど数学は毎年かなりの難問が出る、とかなら、もしかすると挽回のチャンスはあるかもしれません。数学の配点400点ということは、数学が仮に5問出題されるとして、1問80点です。数学はホームラン科目。教科書の最後まで到達してなかったときの偏差値よりは1か月でじゅうぶん上乗せが可能です。問題によっては30点の点差は余裕で挽回できるかもしれないのです。

こうなってくると、本人の適性や入試問題の傾向など、細かく見て判断することになります。センターリサーチだけで判断するのではなく、センターリサーチをもとに多角的な判断をする必要があるように思います。

最後に、出願するときのコツを3つ。

●出願校を決定するときは、常に「この学校しか合格しなかったら、行くか?」ということを考える。この学校だけしか合格しなかったら行かない、というのであれば、受験する意味はない。

●国公立大学は前期後期の2度のチャンスがあるが、浪人覚悟or私大に必ず合格する自信があるのであれば、前期は現実的な範囲である程度夢を見ても良い。

●国公立大学の後期試験を受験するということは、それまでの私大入試+前期試験がすべて不合格だった可能性が高い。後期試験を受けるときは、全部落ちて弱気になっているという状態を想定して出願すべき。

受験生の皆さんが悔いのない受験を過ごされることを祈っています。