うつ病、気づかないうちに忍び寄る9つのリスク 冬は要注意?

冬はうつ病にかかりやすい?

冬の大変さは、ときに氷点下にも冷え込む厳しい自然だけではない。約1000万人に上るアメリカ人が、ある季節に気分の落ち込みなどの症状が出る、季節性情動障害を発症するという。

このタイプのうつ病の人は、1年の間の気候の変動により、躁とうつの症状をくり返し体験する。多くの場合、秋の終わりに症状が発症し、春の始まりまで続くという。天気がぱっとしない、寒く薄暗い気候が続くような緯度の高い地域に住む人たちに影響することが多いことで知られる。

何も季節の移り変わりだけが、うつ病の発症につながるわけではない。何気ない生活習慣も、うつ病の引き金になることがある。

「うつ病には様々なかたちがあります。軽度の場合は、いつもと変わらず日常生活を送ることができますが、重度の場合は、日常生活の多くのことが困難になることもあります」と、アメリカの大手医療機関クリーブランド病院、ウェルネス研究所の家族医ジョシー・ニダルシック氏がハフポストUS版の取材に対しこう語った。「うつ病は誰にでも起こる可能性があります。人生を揺るがすような大きな出来事だけで引き起こされるわけではありません。また、うつ病に気づかないフリをすれば自然と治るというものでもありません」

もちろん、脳内物質やホルモン、遺伝など、外部からの刺激以外の原因が、うつ病を引き起こすことはある。しかし、例えば、次に挙げる外部要因が発症のきっかけになることもある。

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1.持病

長年の持病と付き合うのは、肉体的にも精神的にも辛いものだ。アメリカ疾病管理予防センターによると、心臓病や糖尿病、がんなどの持病がある人は、うつ病になるリスクが高いという。専門家らは、持病とうつ病のどちらが、もう一方の病気を引き起こすのかは解明できていないが、持病を抑えながら精神疾患をコントロールしていく方法はあるという。

2. 喫煙

喫煙習慣を断ち切る良いきっかけになるかもしれない。2015年に発表されたイギリスの研究によると、喫煙者は、そうでない人に比べて、パニック障害やうつ病になる確率が高いことがわかった。さらに、喫煙は不安感を引き起こすという。タバコを吸っていない時に感じる禁断症状が、不安感を呼び起こすのだ。

「タバコを吸って得られるときの高揚感は、体調を壊す一因となっているのです」とクリーブランド病院のマイケル・ロイゼン氏は以前、ハフポストUS版に語った。「体調を崩したり病気を引き起こしたりする方法ではない手段で、高揚感を得る必要があります。エクササイズや友だちとのおしゃべり、料理など、自分が情熱を注げることを見つけることが大切です。特にこのアプローチは、うつ病にも効果的です」

3. SNSの使いすぎ

SNSは、他人の人生のいいところだけを一瞬だけ垣間見るようなもので、実際にその人の人生を正確に伝えるものではない。でも、他人と比べてしまう自分に気付くことがあるだろう。潜在意識の中で行われるこのプロセスが、うつ病を引き起こす可能性があると医療専門誌は発表した。

4. 居住環境

都会に住んでいるか、地方に住んでいるかで、メンタルヘルスは大きく左右される。医療学術誌「サイエンティフィック・アメリカン」に発表された研究によると、都市部に住んでいる人の方が、より精神疾患、特にうつ病にかかりやすいという。複数の研究グループは、うつ病にかかるメカニズムは複雑だが、自然の中で多く時間を過ごすことで、(症状を)緩和できる可能性が高いとしている。

5.食生活

日々食べるものは、心身に影響を与えている。アメリカの大手総合病院メイヨー・クリニックの研究によると、加工肉、糖分や脂質など中心の偏った食生活をしている人は、うつ病を発症しやすいということがわかった。2008年に発表されたデータ分析によると、栄養素によって、うつ病の症状や発症期間は左右されるという。うつ病によって食欲は左右されるから、きちんと栄養を摂ること自体が困難なこともある。「うつ病と栄養の関係は簡単に説明できないが、自分の気分を理解する上で把握しておく必要がある」と専門家は話す

6.ずっと座っている

健康な心と身体は、何も栄養だけで作られるわけではない。どれだけ活動的であるかも大きな要因だ。研究によると、エクササイズは気分を高揚させる作用があるという。それだけではなく、あまりに活動的でないと、うつ病を引き起こす可能性もあるという。そろそろ足を動かすのも悪くないかもしれない。

7.睡眠不足

睡眠不足は、笑い事ではない。もし睡眠を優先しないと、心臓病などの生活習慣病だけでなく、精神疾患を発症するリスクも高まるという。研究によると、重度の睡眠不足は、心の状態に害を及ぼすことがある。うつ病自体も睡眠を妨害することがあるため、悪循環に陥ってしまう可能性があるのだ。

8.脳炎

最近新しくわかってきた研究によると、うつの症状は、神経炎症によるもので、脳が自身を守るために自然に起こる反応だという。精神科疾患学術誌JAMAは、うつ病患者の方が、そうでない人に比べ、脳炎になる可能性が30%も高いとしている。これは、「うつ病はただがんばりが足りないだけ」という考えが間違っているということを証明する。

9.自分のやりたいことを再優先していない

他人を優先するあまり、自分自身のやりたいことや感情を飲み込んでしまうことで、メンタルヘルスを害する可能性がある。「自分自身のことをないがしろにしてしまう人は実は数多くいます」とクリーブランド病院のウェルネス研究所家族医ニダルシック氏は話す。「『ノー』と言いたい時にその言葉を飲み込んでしまうと、うつや喪失感を引きずってしまう可能性があるのです」

もしもうつ病かもしれないと思っても、もうダメだと思う必要はないとニダルシック氏は強調する。いつも通りのあなたに戻れるよう、うつ病をコントロールする方法はあるし、何より、あなたは健康でいられるはずだから。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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