【もう一度見直したい】犬や猫に与えてはいけない食材とは?

日本全国で飼われている犬、猫は合計約2000万頭といわれており、子供の数より多いと試算されています。飼い主にとって、もはや大切な家族の一員ですよね。そんな大切な家族である犬や猫の食べ物について、いま一度おさらいしてみましょう。
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日本全国で飼われている犬、猫は合計約2000万頭といわれており、子供の数より多いと試算されています。飼い主にとって、もはや大切な家族の一員ですよね。そんな大切な家族である犬や猫の食べ物について、いま一度おさらいしてみましょう。

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犬や猫に与える食べ物はペットフードが主流となってきましたが、ついうっかり人間と同じ食べ物を与える事があったりしませんか?実はそれらの食材の中には犬や猫にとって健康を害する原因になるものがあるのです。

そこで犬や猫に与えてはいけない食材について、専門家の左向敏紀先生(日本獣医生命科学大学 獣医学部 獣医保健看護学科 教授)と大島誠之助先生(倉敷芸術科学大学 生命科学部 生命動物科学科 客員教授)にお話を伺いました。

■要チェック!犬・猫共通で与えてはいけない食材

与えてはいけない食材は、基本的に犬や猫の種類に関わらず共通です。ただし犬、猫ともに、体が小さいほうが少量でも悪影響が出やすいため、特に注意が必要です。

●絶対に与えてはいけない食材 

ねぎ類(玉ねぎ、長ねぎ、にんにく、ニラなど)

「アリルプロピルジスルファイド」という成分が赤血球を破壊し血尿、貧血、下痢、嘔吐、発熱、黄疸など起こす可能性があります。この成分は、加熱しても壊れないため加熱したものも絶対与えてはいけません。さらに、ねぎ類を煮込んで具を取り除いた煮汁にも成分が溶け出しているため絶対に与えないでください。

カカオ成分を含む食材

チョコレートやココアの原料カカオに含まれる「テオブロミン」という成分が興奮剤のような働きをし、中枢神経を刺激します。けいれん、下痢、嘔吐、運動失調、昏睡状態、最悪の場合死に至る事も。特にカカオ成分の多いビターチョコレートはミルクチョコレートよりも危険です。また一見カカオの入っていないと思われるホワイトチョコレートにもカカオが含まれていることがあるので、与えるのは絶対やめましょう。

特に犬は甘いものを好む嗜好があるので、テーブルに置いてあったチョコレートを食べてしまったという事故が多く起きています。くれぐれも放置しないよう気をつけてください。

カフェインを含む飲みもの

コーヒー、紅茶、緑茶などに含まれるカフェインはカカオと同様に興奮剤の働きをし、 脈が早くなったり、呼吸が荒くなったり、興奮、けいれん、嘔吐、下痢を起こす事があります。

塩辛いもの

人間の味覚でちょうど良い塩分濃度のものは、犬や猫に与えないようにしましょう。余分なナトリウム(塩分)を排出する能力が低いため、腎機能障害の原因に。特に猫は水の少ない砂漠地帯に生息していたリビアヤマネコが先祖であるため、少ない水分でまかなえるように腎臓が水分を再吸収し、濃縮して体外に排出する尿量を減らす働きをしています。塩分の多い食ベ物は非常に腎臓に負担を与え、腎機能障害を起こしやすくなります。

●与え方に気をつけるべき食材

生肉、生魚

細菌汚染による食中毒を起こす可能性があるので避けた方が無難です。しっかり加熱したものを与えるようにしましょう。しっかり加熱をしていれば、肉、魚の種類は問いません。 

生のイカ、タコ、魚肉、貝類、甲殻類(エビ、カニなど)

生のイカ、タコ、魚肉、貝類、甲殻類に含まれているビタミンB1を分解する「チアミナーゼ」という酵素により、食べるとビタミンB1欠乏症を起こします。主な症状は運動障害や神経障害。特に猫は犬の5倍のビタミンB1を必要とし、「猫に生のイカを与えると腰を抜かす」という話はビタミンB1欠乏症の結果であるといわれています。加熱することによってチアミナーゼは働きを失うので、加熱すれば問題は無いとされていますが、消化が良くないので避けた方が無難です。

生の卵白

生の卵白には必須ビタミンであるビオチンの吸収を妨げる「アビジン」が含まれており、生の卵白を食べるとビオチン欠乏症になるため、与えるのはやめましょう。症状としては食欲不振、唾液分泌、皮膚炎、脱毛などがあります。ただし、卵黄にはビオチンが非常に多く含まれているので、卵黄のみもしくは全卵を与えればビオチン欠乏症にはなりません。またアビジンは熱に弱く、加熱によって働きを失うのでしっかり加熱をすれば問題ありません。

レバー

ビタミンA、Dが非常に多いレバー。ビタミンAやDは過剰に摂取すると排出されずに体内に蓄積されてしまいます。ビタミンAが過剰になると四肢に痛みが出たり、肝機能障害を引き起こします。また、ビタミンDはカルシウム吸収に関与しているため、カルシウムを吸収しすぎることによる骨の炎症、変形の原因になります。ただ、あくまでも過剰に摂取した場合にみられる症状のため、毎日食事として与えることは問題ですが、週に1〜2回おやつに与える程度なら問題ありません。

生の鶏の骨

生の鶏の骨は縦に鋭く割れるため、消化管に刺さったり傷をつけてしまいます。人間より体の小さい犬や猫は消化管も細いので気をつけなくてはいけません。また、マグロやカツオなど大型の魚の生の骨も同様に細い消化管を傷つける事があるので気をつけましょう。

牛乳

牛の乳は、犬や猫の乳に比べて乳糖が多く含まれています。子犬、子猫のうちは乳糖を分解する「ラクターゼ」という酵素を持っているのですが、離乳をする2ヶ月齢ころからラクターゼが出なくなってきます。そのため、牛乳を飲むと乳糖が小腸で分解されずに大腸までたどり着きます。その乳糖が大腸内にある腸内細菌に利用されると乳酸が発生し、大腸内が酸性になり大腸の蠕動(ぜんどう)運動が活発になるため下痢を誘発する原因になります。個体差、牛乳の量にもよるので必ずしも下痢を起こすわけではありませんが、与え過ぎは控えましょう。

ナッツ類

特に犬は噛まずに丸吞みする習性があるので、消化の悪いナッツ類は与えすぎに気をつけましょう。多く与えすぎると下痢や嘔吐の原因になることもあります。

■犬に与えてはいけない食材

キシリトールを含む食材

虫歯を予防することで人気の「キシリトール」ですが、犬の場合小腸で吸収され、血糖値を下げるホルモン「インシュリン」が過剰に分泌され、卒倒、けいれんなど低血糖発作を引き起こします。キシリトールを使ったガムや飴を犬が誤って食べてしまうという事故も増えています。犬が届く所に置いておかないように注意しましょう。

■猫に与えてはいけない食材

煮干し、海苔

煮干しや海苔には「マグネシウム」が多く含まれています。マグネシウムの過剰摂取はストラバイト結晶を作り、尿道を塞いでしまう事もあります。与え過ぎに注意しましょう。

ご飯など糖質

猫は肉食のため、雑食の犬と比べて糖質の消化酵素が少なく、消化吸収能力が劣ります。 与える事で健康を害すことはありませんが、猫にとって必要なエネルギーはタンパク質と脂肪から主に摂ることが理想です。

■誤食事故は猫より犬の方が重篤に

犬、猫ともにもともと肉食だったのですが、犬は約1万5千前から人間と共存するようになります。雑食である人間の食べた残り物を与えられるようになって、犬はだんだんと肉食から雑食に変わっていきました。一方猫は犬と比べて人間との歴史はまだ浅く、犬よりも群れで暮らす習性が無いことから肉食のまま今現在に至っています。このように環境や食べるものによって体は進化していきます。

また一度に食べる量や食べる頻度も、犬と猫では違いがあります。犬は群れで大きい動物を狩る習性があり、大きい動物はそう頻繁に狩ることが出来ない、つまり次にいつ食べられるか分からないので狩りが出来た時にはまとめ食いをします。一方猫は一匹で小さい動物を狩る習性なのでお腹がすいたタイミングで狩りをして食べるいわゆるちょこちょこ食いをします。この習性から、誤って置いてあった物を食べてしまうといった事故が起こったときには、猫よりも犬の方が大量に食べてしまい重篤な症状になってしまうケースが多く起きています。

特に室内で犬や猫を飼っていると、自分が食べている物をつい与えたくなってしまうことはありませんか?あるいは、飼い主家族はきちんと知識を持っていても、周りの友人などがうっかり与えてしまうということも多いようです。また、犬の場合は与えるつもりはなくても、見ていないときに置いてあった物を食べてしまった誤食による事故も多く起きています。

・届く所に食べ物を置かない・食べ物のにおいがしないようにきちんと密閉容器などに入れる・テーブルやキッチンの調理台の近くに上れるような台や椅子を置いておかないなど、ちょっとした注意で未然に事故を防ぐ事が出来ます。

さらに、犬や猫は言葉がしゃべれないこともあり、体調が悪いことをなかなか気づけないことも。もし誤食事故に気づいたら、自己判断せずに早めに獣医さんに受診してください。(TEXT:クックパッド編集部)

※取材協力

今回お話をお伺いした左向敏紀先生、大島誠之助先生は日本ペット栄養学会が主催するペット栄養管理士養成講習会で講師を勤められています。

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