みなさんこんにちは。どーも僕です。
諸説あるようですが本日8月8日は世界猫の日らしいですね。
猫と言えばこの前、買い物ついでに凄いもの見つけました。
保護猫と新しい家族の出会いの場、イオンさんが手掛けるライフハウスという取組みです。
これサイコーだなと思ってツイートしたんですよ。そしたら同じようにサイコーだと思ってくれた人も多くて、3万RTを超える反響と数多くのコメントをもらったんです。
その中に1つだけ、どうしても気になる質問がありました...
5月に募集締め切り。この子の運命は?
今日は8月。ゆずちゃんの募集締め切りは5月。明らかに募集締め切り日は過ぎています。
募集締め切りを過ぎた猫ちゃんの運命はどうなってしまうのか。考えれば考えるほど色んな疑問が湧いてきます。
せっかくなので"ゆずちゃん"以外にもイオンさんに直接聞くことにしました。
会社も社会も動かした「救える命を1つでも」という想い
――ライフハウスを始めたキッカケを教えてください
ライフハウスは、ワンちゃんやネコちゃんと暮らそうとする方と保護犬や保護猫が会える出会いの場です。殺処分の多かった2008年に、弊社のある社員が社長に「救える命を1つでも」と直談判したことがキッカケで、最初は埼玉でワンちゃんの受入れからはじまりました。
――前例のない取組みで社内から反対意見はありませんでしたか?
反対意見は全く聞かれませんでした。それどころか役員を引き連れて最初のワンちゃんを引き取りに行ったのは社長なんです。むしろ丁寧に説明を差し上げたのは動物を保護している行政機関に対してです。当時、動物の保護活動をするNPOは存在したのですが、企業が利益にならない保護活動をする感覚は一般的ではありませんでした。特に、生体販売をしている店舗に入っているケースが多いので、どうしても営利目的に利用するのではないかと疑念を持たれました。そのため行政機関と同じ目線で、一緒に殺処分を減らしたいんだというのを正しく伝えることが必要でした。ご理解いただくため、社長自ら動物愛護センターなどの行政機関に赴き、私たちの想いを伝えに行きました。
里親探しは利益度外視
――生き物であるペット自体の販売、いわゆる生体販売はしていないのですか?
はい。弊社では生体販売はしていません。ただし店舗によっては生体販売をしている企業さまに弊社の店舗内にインテナントとして出店していただいています。そのような企業さまもライフハウスの取組みについてご理解いただいております。また、出店いただいている生体販売の企業さまの中には、ご自身も動物愛護団体への援助や、ライフハウスと同様に自ら殺処分を減らす取組みをされています。
――ライフハウスの運営費はどうしているのですか?
詳細な金額は非公表ですが1つの拠点にかなりの金額がかかることは事実です。しかしそれは弊社だけではなく、保護活動をする以上どこの団体でもお金はかかります。弊社の場合は店舗があって飼育するスペースがあるので家賃は運営費の一部として吸収しているのですが、それでもご飯代やお世話をする人的リソースは必要です。意外とお金がかかるのが医療費なのですが、弊社は動物病院を自社運営しているので、獣医さんがしっかり見てくれています。病気をした時の薬代はかかりますが、会社のリソースが使えるのは強みですね。
――その活動は貴社の売上につながるのですか?
直接的な売上にはつながっていません。卒業したワンちゃん・ネコちゃん達のご飯は購入いただくケースはあると思いますが、弊社でなくともどこでもフードは買えます。むしろ店舗のスペースをライフハウスに割り当てているので商品陳列スペース分だけ販売機会は失っているかもしれません。
利益を考えれば不可能な活動ですが、ここにいるワンちゃん・猫ちゃん達を見て何かを感じていただきたいし、卒業していったワンちゃん・猫ちゃんたちに何かあった時、いつでも相談できる場でありたいと思っています。
命を守る創意工夫と官民連携のメリット
――このような活動を広げる上で課題はありますか?
まずはみなさんに知っていただきたいと思っています。弊社のライフハウス以外にも保護犬・保護猫を引き取る団体はあるのですが、全国的に引き取る数が増えているためパンクしそうな団体も増えています。引き取る一方ではどんな団体も続かないので、多くの取り組みがあることはもっと知って欲しいし、そういった活動の場は実際に見て欲しいですね。
次に、弊社が行政の方と上手く協力できる体制作りが重要だと考えています。保護犬猫の引き取りを申請する際、動物愛護のNPOさんだと話が早いのですが、弊社は株式会社なので営利目的でないことを理解していただくことが課題ですね。
――ワンちゃん・猫ちゃん達のためには自治体との深い協業が必要なのですね
はい。特に弊社はイオンモールなどの商業施設に店舗を構えているという特性上、お客様の生活に一番近い交流の場を作ることが出来ます。買い物ついでにワンちゃん・猫ちゃん達を見ていただく機会を作れるのは弊社の強みです。
――僕も電球を買ったついでに発見しました。
ありがとうございます。お客様とワンちゃん・猫ちゃんを繋ぐ最も身近で有効な場として、自治体さまの拡張機能も果たせます。そのためにも行政さまに理解いただけるよう一層の努力をし、ライフハウスの取組みを一歩ずつ広めたいですね。
申し込み期間を過ぎたらどうなる?保護猫ゆずちゃんの運命は...
――掲載された猫ちゃん一覧には「申し込み期間」が設定された子がいました。期間を過ぎたネコちゃんはどうなってしまうのですか?
「申し込み期間」はよりよいマッチングのために設けています。例えば誰かがある猫ちゃんを引き取りたいという申請をなさったら、その場で譲渡が確定するのではなく、一定期間内で他の方も引き取り希望の申請をすることが出来ます。この期間中に猫ちゃんの飼育環境体制などを確認させてもらっています。中には希望者の引き取り体制が完全ではないケースもありますので、その場合は改めてゼロベースで募集をかける形をとっています。だから、この申し込み期間が過ぎたら保護施設に戻されるということではありません。「申し込み期間」は「既に引き取り希望の方がいて家族が決まるかもしれません。どうしても家族になりたい方は"ちょっと待った"してください」といった意味合いですね。
――引き取り体制の確認事項にはどのようなものがありますか?
「卒業した子が再び戻ってこないこと」を目的に、丁寧に確認させてもらっています。例えば大家さんと口約束でペット飼育の許可を取ったと仰る方も多いのですが、これは言った言わないのトラブルになる場合があります。そのため基本的には住宅の契約書を持ってきてもらっています。契約書に記載が無い場合は、ペット飼育の許諾について大家さんに一筆書いてもらいますね。
後は引き取るを希望なさる方の年齢ですね。60歳以上の希望者さんには後継人を建てていただいています。ワンちゃん・猫ちゃんの保護される理由の約6割が飼い主の健康上の理由なんです。例えば入院して家に帰れなくなった時に、親族の方が面倒を見てくれるとは限りません。身内が飼えなくなったワンちゃん・猫ちゃんの面倒は見られないという方が保護施設に連れていくケースも多いんですね。だからある程度の年齢の方には、万が一の場合に面倒を見られる方を立てていただいています。
――引き取り体制が完璧でなかった方から、引き取れなかった子のその後を心配する声がありました。
横須賀店にいた「ゆずちゃん」ですね。横須賀店が閉店する際に品川店に引っ越ししてきた子です。首がちょっと曲がったハンディキャップがあり長くウチで暮らしていた子なんですが、先日あたらしい家族と一緒に無事卒業していきました。
――引き取り手が見つからず保護施設に戻される子はいますか?
いいえ。引き取り手が見つからなければずっとライフハウスにいてもらいます。やはり障害がある子はなかなか引き取り手が見つからないのですが、その時はライフハウスが責任をもって終生飼育をします。過去に、なかなか新しい家族がみつからず5年ほどライフハウスで暮らしていたい子もいたのですが、幸いなことにその子も新しい家族と卒業していきました。
殺処分を減らすため、わたしたちが出来ること
――このような活動を応援するために我々が出来ることはありますか?
現在はライフハウスとして寄付などを受け付けていないので、あえて言うなら弊社のお店をご利用いただけると嬉しいです。
しかし弊社以外にも同じ目標に向けて活動している団体さんはいくつもあり、資金的に苦しい中で奮闘している団体さんもいらっしゃいます。ですから、そういった団体さんに募金をしたり、ボランティアへの応募でも活動を広めることが出来ると思います。たとえば頻繁に授乳が必要な赤ちゃん猫にミルクを飲ませせる"ミルクボランティア"を募集している団体さんもありますね。
また先日は多くの方に弊社の取組みを広めていただたきましたが、その結果ライフハウス10年の歴史でも最も多く激励のお言葉やお問い合わせをいただいております。ボランティアや募金以外にも、このような取組みを告知してもらうだけで心強いですね。
取材を終えて
こんな取材しておいてアレなんですけど、軽い猫アレルギーなんですよ僕。
猫は好きだけど猫アレルギー。心と身体の抗争状態。猫は飼えない。
だから殺処分の存在は知りつつも自分には何も出来ないと思い込んでました。
そんな僕が、買い物ついでにたまたまライフハウスを見てそれをツイートしました。そしたら会ったことも無い3万人が拡散してくれました。拡散されたツイートを見て会ったことも無い人が「さっそく行ってくる!」と実際に動きだしました。
ツイートを拡散した人の大半は僕と同じように「いますぐネコを探す人」じゃなかったと思うんだけど、そんな人達が情報のバトンを繋いで飼える人が動いたんです。飼えなくても出来ることあるじゃん。
今回わざわざ記事を書いたのは「ゆずちゃんのその後が気になるし、それをネタに書けば情報のバトンをもう一度まわせるじゃん」と思ったからなんです。
...もうお分かりですね?
保護猫の運命を乗せたバトンを受け取ってくれたのは、ここまで読んでくれた『アナタ』なんです。アナタがいつか新しい家族を探そうと思った時、保護猫という選択肢があることを思い出してみて下さい。もし諸事情でアナタが一生猫と暮らせないとしても、飼える誰かへ何かの折に伝えてもらえると嬉しいです。
アナタのちょっとした一言が、施設にいる"次のゆずちゃん"を救うかもしれないから。
どーも僕でした。