世界各国の首脳がキューバの元最高指導者フィデル・カストロ氏の逝去に反応した。
支持者たちは、11月25日に90歳で亡くなったキューバのカストロ前国家評議会議長が残した、世界的な影響と遺産を称えている。一方、批判する人たちは、基本的人権を侵害した共産主義体制の独裁者と考えている。
各国の首脳の反応を見てみよう。
■アメリカの反応
「フィデル・カストロ氏の訃報に接し、私たちはキューバ国民のみなさんに友情の手を差し伸べます」と、オバマは氏は話した。「今、キューバ国民のみなさんは、キューバ在住であれアメリカ在住であれ、強い感情で満たされていると思います。フィデル・カストロ氏は個人の生活、家族、そして国家であるキューバの道のりを転換させました。彼の数々の行いについて回想していることでしょう。この非凡な人物が周囲の世界や人々に及ぼした計り知れない影響は、歴史が記録し審判を下すでしょう」
「今日、私たちはフィデル・カストロ氏の家族の方々に哀悼の意を表し、キューバ国民にお悔やみ申し上げる。今後は過去を思い出すとともに、未来にも目を向けるだろう。その時、キューバ国民のみなさんは、アメリカに友人とパートナーがいることを思い出して下さい」
一方、次期大統領のドナルド・トランプ氏は……。
フィデル・カストロが死んだ!
トランプ氏は、2014年にバラク・オバマ大統領がキューバとの国交を正常化させたことについて「弱い協定だ」と批判している。しかしトランプ氏はこれまで、この合意を破棄するとは言っていない。
「強力な協定を得るためにするべきことは、何でもやるつもりだ。国民は協定を望んでいる。今回の協定の考え方には同意するが、現実的な協定でなければならない。だから、もし交渉目的で協定を考えるなら、キューバ国民にとっても大きな意味のあるものにしなければならない」と、トランプ氏は2016年初頭に語っている。
トランプ氏は26日朝、正式な声明を発表した。
今日、60年近く自国民を迫害してきた残忍な独裁者が死去した。フィデル・カストロの遺産は、銃殺隊、盗難、想像を絶する苦しみ、貧困、そして基本的人権の否定だ。
キューバはまだ全体主義的な島のままだが、私が願うのは、今日を境に、あまりにも長い間辛抱してきた恐怖を取り去って、すばらしいキューバ国民がようやく自由な生活を当然の権利として享受することだ。
フィデル・カストロが引き起こした悲劇、死、痛みは消し去れないが、私たちの政権は、キューバ国民がようやく繁栄と自由への道を歩み始められるよう、できることは何でもやるつもりだ。大統領選中は、多くのキューバ系アメリカ人たちが、2506部隊の退役軍人団体を含め、私に大変協力してくれた。彼らが近い将来、自由なキューバを見られるよう、希望を与えたい。
■ ロシアの反応
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、このキューバの絶対的指導者を「多くの国を奮起させる模範」であり「一時代の象徴」と呼び、弟で後継者のラウル・カストロに電信を送った。
プーチン氏はカストロを「一時代の象徴」として賞賛した――クレムリン
インテルファクス通信によると、1991年に共産主義体制のソ連が解体するまで政治的・経済的にキューバを支援したミハイル・ゴルバチョフ元ソ連大統領は「カストロは世界の歴史に永続する記録を残した」と述べた。
■ その他の反応
中国の習近平国家主席は声明で、カストロは世界中の共産主義の発展に貢献したとたたえ、中国の人民は「親密な同志・誠実な友人」を失った、と述べた。
カナダのジャスティン・トルドー首相は26日午後の声明で、カストロ氏の支持者への同情を示した。
「賛否両論のある人物でしたが、支持者でも反対者でも、カストロ氏のキューバ国民への並外れた献身と愛については認めていました。キューバ国民は『エル・コマンダンテ(司令官)』に消えることのない深い愛着を持っています」
フランスのフランソワ・オランド大統領は、カストロ体制下の人権問題に懸念を示した一方、キューバとアメリカの関係の改善を歓迎した。
「フィデル・カストロは20世紀の偉大な人物でした。キューバ革命を実現し、希望とともに幻滅を与えました」と、オランド大統領は語った。「フランスはキューバの人権侵害を批判すると同時に、アメリカのキューバに対する禁輸措置にも異議を唱えてきました。フランスは、両国が対話を再開し、オープンな関係を再構築できて、うれしく思っていました」
ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は、カストロ氏を「世界中の全ての人にとって、戦いの模範」と呼んだ。
フランシスコ法王はカストロ氏の死を「悲しい知らせ」と表現し、深い悲しみの中でカストロの「安らかな眠り」を祈っていると述べた。
ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。
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