免疫療法は詐欺まがい、と思っている人が、たぶん知らないこと。

「オプジーボ」の登場で、免疫療法はがん医療の4本目の柱として確立されつつあります。

ニュースサイトに「科学的根拠乏しい『免疫療法』がん拠点15病院で実施...保険外、効果未知数」という記事がアップされていました。たしかに、一口に「免疫療法」と言っても、現状では玉石混淆。おそらくそのせいで、コメント欄には免疫療法を十把一絡げに批判する書き込みも少なくありません。本当は免疫療法、すごく進化していて、劇的効果が実証されているものもあるんですよね。むしろ、効くのはいいけどあまりに高価で、このままでは保険組合が破綻するだろう、ってことも、あんまり知られてないんでしょうね...。

やはりまだ知る人ぞ知る、なんでしょうか。「オプジーボ」の登場で、免疫療法は、手術(外科治療)、抗がん剤(化学療法)、放射線療法に次ぐがん医療の4本目の柱として確立されつつあります。オプジーボは「免疫チェックポイント阻害剤」と呼ばれる新しいタイプの抗体薬。医療関係者はもちろん、がん患者やその家族など、当事者の間では有名かつ話題の薬です。なぜって、効く人にはものすごく効くから、そして、薬価がすごく高いのにバンバン使われ始めているからです。

ざっくりご説明しますと、オプジーボは「効く人にはすごく効く」ものの、今の段階では誰に効くのかが事前にはっきりとはわからないのが、まず1つ目の問題。使用後1年の生存は4~5割、2年以上は2割にとどまるのですが、誰に効くかはっきりしないので、可能性があるとなれば誰しも試したくなりますよね。例えば非小細胞肺癌なら約6万人、適応が拡大しつつあるので他のがん(現在のところ、悪性黒色腫や腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頚部がん、胃がんの一部)も含めるとすごい数の対象者になってきます。

しかも、このオプジーボ、やたらと高いんです。これが2つ目にして最大の問題。安ければ、それこそ誰に効くか分からなくてもとりあえず試してみる、という考え方もアリかもしれませんが(ただし副作用が突然起きる可能性はあります)、なんと体重60㎏の肺がん患者だと、1回に133万円! 

使えなくなるまで使う想定だそうで、2週間に1回使ったら年間で3500万円超。しかも日本の健康保険には非常に有難い「高額療養費制度」というものがあって、高額所得者でも自己負担は最高200万円なので、残りの3300万円は健康組合が負担するのです。全国では、3300万円×6万人、って...。たとえ全員が半年使っただけだったとしても、1兆円です。

なんでそんなことになってるんでしょうか...。

といった話は、実は全部ロハス・メディカル受け売りで、もっとくわしい説明も、この話の続きも、ぜーんぶ以下の記事に書いてあります。もう少しちゃんと知りたい方は是非どうぞ。手前味噌ですが、本当に読みやすくて分かりやすいですよ!

堀米香奈子 ロハス・メディカル専任編集員

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(2017年10月4日「ロバスト・ヘルス」より転載)