男性を「はげ」と呼ぶのはセクハラだ――。
イギリスの雇用審判所は5月12日、職場で「はげ」と呼ばれたことで会社を訴えていた男性の申立てを認める判断を示した。
3人の審判員は裁決で、頭髪が少ない症状は女性より男性により多くみられる、と指摘。
「はげという言葉は、法律で保護されるべき特性の一つである性別に関連した、中傷にあたる」と結論づけた。
さらに、男性をはげと呼ぶことは、職場で女性の胸のサイズについて触れることと同等であるという考えも示した。
尊厳を踏みにじるハラスメントと判断
雇用審判所に申立てをしていたのは、ウェスト・ヨークシャー地方にある木製樽製造会社「British Bung Company」で電気技師として働いていた、トニー・フィン氏だ。
フィン氏は同社で24年近く働いた後、2021年に解雇された。
ガーディアンによると、フィン氏は2019年7月に、上司から職場で「はげの嫌なやつ」と罵られた。
この言葉の「はげ」という部分に傷ついたフィン氏は、セクハラなどの被害で会社を雇用審判所に訴えた。
審判員たちは審理の中で「はげの嫌なやつ」という言葉が単なる侮辱なのか、ハラスメントにあたるのかを検討した。
その結果 「ウェスト・ヨークシャー工場では罵りの文言が珍しくない一方で、上司は原告の容姿に対する個人的な発言をすることで一線を越えた」と判断。
上司の言葉について、「フィン氏の尊厳を踏みにじり、脅威的、敵対的、屈辱的、もしくは不快な環境を作ろうとする以外の目的で使ったとは結論づけにくい」とした。
さらに、審判員たちは「『はげ』という言葉と、法律で保護されるべき特性である『性別』には関連があると考える」との見方も示した。
審判員は、会社側の弁護士が指摘した「女性も無頭髪の状態になる」という点を認める一方で、「髪がない/薄いことは、女性より男性に多い。そのため、我々は本件は本質的に性別に関連づけられている」と結論づけた。
そして「はげの嫌なやつ」という言葉について「原告の尊厳を冒し、敵対的な職場環境を作る発言であり、性別に関連する」とした。
一方、今回の審判では、年齢差別による不当解雇をめぐる主張については退けられた。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。