消防士にも精神的なサポートを。カリフォルニア州が、消防士のメンタルヘルス支援を強化へ

消防士の仕事は、精神的、感情的、身体的負担を生じさせる場合があります

大規模な災害が発生した時に、人命救助や消火にあたる消防士たち。 

多くの人たちを救っている一方で、過酷な現場で働く彼ら自身が受ける精神的な負担の大きさは、計り知れない。 

そんな消防士へのメンタルケアをする動きが、アメリカ・カリフォルニア州でスタートしている。

カリフォルニア州のギャビン・ ニューサム知事が10月1日に署名したのは、消防士のメンタルヘルス支援を強化するための法案だ。

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ギャビン・ ニューサム知事
NurPhoto via Getty Images

カリフォルニア州では近年、大規模な山火事が相次いで発生している。

法案が発効されたことで、消防士のためのピアサポートプログラムが作られるようになる。

加えて、心的外傷後ストレスが「傷病」扱いとなり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を抱えている消防士や警察官たちの労災が認められ、治療や休職のための保証が受けられるようになる。

消防士たちの精神的な負担について、法案では次のように説明している。

「消防士の仕事では、衝撃的で予測不可能なことが起こり得るものです。それが大きなストレスを生む職場環境につながり、さらに精神的、感情的、身体的負担を生じさせる場合もあります」

「多くの消防士がトラウマから回復している一方で、 多くの消防士が勤務時間外にも仕事で生じたストレスの影響を受けているという悲しい現実があります」 

ボストンに拠点を置く慈善団体「ルーダーマン・ファミリー基金」の調査によると、アメリカで2017年に自死した消防士と警察官の人数は、勤務中に死亡した人数より多かった。

ニューサム知事は「コミュニティが助けを必要としている時に、消防士が支援を提供するのと同じように、彼らが助けを必要とする時にサポートを受けられるよう、同法案が保証します」と、ニュースリリースで述べた。

 ■増えるカリフォルニア州の山火事

カリフォルニア州ではここ数年、記録的な山火事が起きている

2018年に発生した火災では、北カリフォルニアの町パラダイス周辺で85人もの人たちが犠牲になった。同年には同じく州北部のメンドシーノ近郊で、同州史上最大となる山火事が発生した。2017年にも、 大規模な山火事で甚大な被害を被っている

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2018年に起きた火災で、消火にあたる消防士
Xinhua News Agency via Getty Images
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消火後に、犠牲者を探す消防士たち
MediaNews Group/The Mercury News via Getty Images via Getty Images

カリフォルニア州森林保護防火局(カル・ファイア)の広報担当ジェリー・フェルナンデス氏は2017年、ハフポストUS版に対し「30年以上消防隊で働く中で、数々の恐ろしい光景を目にしてきました」と語っている

カル・ファイア副局長のスコット・マクリーン氏も「こんなにたくさんの犠牲者を見たことはありません。(2017年10月の1カ月で) 44人もの人たちが命を落としたのです。信じがたいことです」と、コメントしている。

ハフポストUS版の記事を翻訳しました。