会社に勤めていて独立したいのだけど、どうやって商売のネタをみつけたらいいかわからない、という人は多い。
僕もそうだったから、その思いはよくわかる。
その頃の僕にもしアドバイスするとしたら、とにかくまず、どんなに小さなものでもいいから、何かを自分で売ることから始めたら良いと言うだろう。
僕が独立を考えた時、イメージしたのはエキサイティングな小売店とか、有名なベンチャー企業の成功例だった。
そういう事例しか普段目にしないので、イメージをそこからひっぱってきて、そうでなければならないと思ってしまっていた。
僕が会社を辞めてから学んだことは、僕らが目にする華やかな成功例、たとえば大きな店舗も、その多くは、元はと言えば小さな商売から始まっているということだ。
よく紹介するカナダの起業家のJustinさんが、Mediumの記事のなかで知人のコーヒーショップのオーナーのことを書いておられる。
その人の夢はオーセンティックなコーヒーショップを開くことだったが、5年前に始めたことは、日曜日の青空市でコーヒーを淹れて売ることだった。彼はそこで美味しいコーヒーを淹れて、自分のコーヒーに対する思い入れをお客さんに熱く語った。次に、バス停のそばのスタンドで、月曜日から土曜日の9時から16時までコーヒーを提供した。青空市で彼のファンになった人たちがそのスタンドに来てくれた。最初はたいして儲からなかったが、お客さんはどんどん増えていった。そして最近、彼は古い駅舎の中に、夢としていたコーヒーショップを開くこととなった。彼のコーヒーショップには毎朝開店を待つお客さんが並ぶ。
僕のやっている商売、リサイクル・アンティーク着物の商売や、骨董の商売では、そういうことはよくあることで、露天やインターネットでの商売から始める人は多い。しかし、コーヒーショップという一見、小さく始めることが難しいビジネスでも、そういうやり方があるのかと、彼の記事を読んではっとした。
何をやったらいいかわからないという人にアドバイスを求められたら、「小さく始めよ」「誰かの問題を解決してあげて報酬をもらおう」というようなことを常々言っているのだが、それには重要なことが含まれていることに、今さらながら気づいた。
小さく始めた商売が大きくなっていくためには、一回一回の商売は小さくても、お客様、ファンをつくることが大事なのだと思う。
小さな商売では当初充分な利益が得られないかもしれないが、その間にひとり、またひとりと自分のファン、お客様になっていただくということができれば、やがてその収益は大きく育っていくだろう。
つまり、こういうことだ。
小さく始めよ、
熱く語れ、
お金ではなく、
ファンをつくれ、
やがてはファンがあなたの夢を実現してくれるだろう
photo by U.S. Army
(2015年6月25日「ICHIROYAのブログ」より転載)