フランス南部でイスラム教徒用の水着「ブルキニ」禁止、これって性差別じゃないの?

ウェットスーツと、どう違うの?

フランスの2つのリゾート地で、身体をまるごと覆い隠すタイプの水着「ブルキニ」を公共のビーチで着用することが禁止された。

ブルキニは、ビーチで肌を人目にさらしたくないイスラム教徒の女性向けに売り出されている水着だ。フランス南部カンヌのダヴィッド・リスナール市長は7月28日〜8月31日にかけて、ブルキニの着用禁止を宣言した。しかし、この水着はウェットスーツと見た目が変わらない。

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2007年にシドニーのビーチを駆け抜けるメッカ・ラーラーさん。彼女はシドニーでサーフィンの水難パトロールのボランティアをしている。

そして南仏のヴィルヌーヴ=ルべやコルシカ島のシスコでも同様の禁止令が出された

カンヌの公共のビーチでブルキニを着る女性は、今後は別の水着に着替えるか退場を迫られる。NPRによると、違反すれば38ユーロ (約4300円) の罰金となる。禁止令はこの8月末まで適用されるが、その後延長されるかどうかは未定だ。

「これはカンヌにいるイスラム教徒の女性に対する、イスラム嫌悪からの嫌がらせにすぎません」と、イギリス人イスラム教徒の女性アイシャ・ジアダンさんは13日、BBCに語った。「ブルキニのおかげで私はやっと、自由に泳いだりビーチでくつろげるようになりました。宗教の教えもちゃんと守りながらです。ビーチで泳ぐ女性がウェットスーツを着て、頭部をしっかりと覆ったとしたら、それこそ禁止する人たちのいう"イスラム原理主義者"そっくりではありませんか」

この疑問に、ブルキニを禁止した当局は答えていない。穏健なイスラム教徒をテロリストと同一視することは馬鹿げているし、何の合理性もない。ブルキニを着た女性をビーチから締め出したところで、フランスで急速に勢力を伸ばしている「イスラム原理主義者」には何の効果もないし、イスラム教徒を地域社会から一層孤立させることにしかならない――そういった批判が噴出している。

「ムスリムの人々はもっとフランスの社会に溶け込むべきだとよく言われますが、ビーチに泳ぎに来るだけで、それも間違っていると言われるのです」と、イスラム教徒の女性マリアム・オイルスさんはBBCに語った。

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ブルキニ姿で水泳プールでくつろぐイスラム教徒の女性

オーストラリアの放送局ABCによると、人種差別やイスラム嫌悪と闘うフランス政府や世論は、フランスとイスラム教徒のコミュニティとの間の緊張を煽るものだとして、ブルキニ禁止令を非難している。また与党のフランス社会党は、この種の規制はまさに「イスラム原理主義者たちの思うつぼだ」と発言した。

ブルキニを着たいと思うのはイスラム教徒の女性ばかりではない。正統派のユダヤ教の女性たちも、信仰に基づいて水泳中はブルキニやそれに似た水着を着用する。また、肌を露わにしなくてすむ方が安心だと感じる女性もいることだろう。著名なイギリス人シェフのナイジェラ・ローソンだって、ビーチの写真ではブルキニを着ていた。

カンヌのリスナール市長は、「この規則は女性に恩恵をもたらすように定められた」と述べた。

ニューヨーク・タイムズによると、リスナール市長は「ブルキニを着て泳ぐ女性は、人々の注目を集めて公共の秩序を乱す」と語った。「こうした女性を注目を集めないように保護する対応をとるために、私は決めたのです」

この言い分では、リスナール市長はまるで女性差別主義者の考え方を認めたも同然だ。なぜなら、この考え方に従えば、女性を「保護する」最善の方法は、女性に嫌がらせし傷つけるのを防ぐ方策を立てることではなく、女性がしていいこととしてはならないことを法律で縛ることだからだ。

そして、もしリスナール市長が本当に「人目を惹き、公共の秩序を乱すこと」を心配しているのであれば、カンヌでセレブたちが人前に現われるのも禁止すべきではないだろうか。

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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