こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
今朝、東十条駅前で街頭活動をしていたとき、社会の窓が全開でした。
深くお詫びを申し上げます。ごめんなさい(寒かったです)。
さて、来週は青少年治安対策本部という部門についての質疑があります。
そもそも「本部」って一体なんじゃらほい?
東京都では、まず大きくその部門は「局」に分かれておりまして、
生活文化局とか都市整備局とか色々あります。
国で言えば「省」にあたるもので、
厚生労働省=福祉保健局
国土交通省=建設局
財務省=財務局
(左が国で、右が東京都の組織名)
という風に考えるとわかりやすいと思います。
そしてこの「局」という組織と平行して、
●青少年治安対策本部
●病院経営本部
という2つの本部組織が独立して存在しています。
この本部というのは、
「特定の課題や時限的な重要課題について、より一層迅速かつ的確に対応するため」
に独立して設置される組織です。
『特定』『時限的』という言葉が入っており、これは裏を返せば
あくまでその特定目的を達成したら本来であれば解散すべき組織なわけですね。
参考:過去の上田令子都議に対する行政答弁より
〇内藤人事部長 都におきましては、例えば福祉、医療、都市づくり、産業、雇用など、一定の行政分野を総括的に担う組織単位として局を設置し、効率的、効果的な執行体制を構築してございます。こうした基本的な組織編成の中で各局が担う行政分野のうち、特定の課題や時限的な重要課題について、より一層迅速かつ的確に対応する必要がある場合に本部を設置してございます。この本部は、関係局から独立して、一定の執行権限を有することから、そのトップには局長級職員を配置し、局に準ずる組織として位置づけてございます。現在、青少年・治安対策本部や病院経営本部などがございます。
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今回は青少年治安対策本部の方を取り上げますが、
これは平成14年に都内の刑法犯認知件数が30万件超と
戦後最悪の水準を記録したことを背景に、
「緊急治安対策本部」
という名称で、石原都知事肝いりで設立をされた機関です。
歌舞伎町が1番荒れ果てていた時代ですね。懐かしい。。
つまり当初は文字通り、「治安回復」がその特定課題だったわけです。
本部の定義からすれば、これを達成された時点で解散するのが筋となります。
平成26年時点では、立ち上げの背景となった刑法犯認知件数は激減し、
平成14年から47%も減少しています。歌舞伎町=危険というイメージも払拭され、
東京都の治安が極めて悪い!と思っている人の絶対数はそれほど多くないでしょう。
しかしながらこの緊急治安対策本部は、
「治安悪化の根底には、青少年の問題が深く関わっている」として、
●青少年育成総合対策本部
●青少年治安対策本部(現行)
と名称を変更しながら、その新たな業務として非行少年の立ち直りや引きこもり対策、
あるいは特殊詐欺やサイバー犯罪に対する啓蒙活動などをその事業に加えながら、
現在に至るまでその姿を留めています。
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しかし色々と調べていきますと、青少年治安対策本部が受け持つ業務は、
そのほとんどが警視庁や教育庁、福祉保健局などと重複しています。
独自事業は極めて少なく、それも上記3つのいずれかに振り分けることは不可能ではなさそうです。
逆にこの本部が未だに「本部」として存続して中途半端に業務を持っているために、
二重行政・三重行政や非効率な運営の発生も指摘されているところです。
「官僚組織(行政機関)は、自己増殖を繰り返す」
という有名な言葉がありますが、
官僚組織は何かを始めるのは得意でも、やめることは極めて苦手です。
仕事やポジションのため、やがて組織を守ることが自己目的化していきます。
「目的を達成するための変化なのか、組織を維持するための変化なのか」
は十分に見極めていく必要がありますし、
青少年治安対策本部の場合は、残念ながら後者の側面が強いように思います。
業務を少しずつ「局」に移行しながら、解散の方向性へ舵を切るべきです。
あるいは存続するというのであれば、しっかりと権限や財源を担保して、
「局」として恒久的な組織になることを目指すのも一案でしょう。
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以上のような趣旨を次回の委員会でも取り上げますが、
正直こうした組織構造については
・強いリーダーシップ
・社会的現象や大きな不祥事
がなければ、なかなか改革することが難しいのも実情です...。
今回、石原→猪瀬都政の路線が終了し、舛添知事が就任することで
本部の見直しが期待されましたものの、現時点ではその動きはありません。
ともすると地味でなかなか都民から見えづらい分野ではありますが、
限りある東京都の財源や人員が適切な方向に使われるよう、多重行政や非効率な組織には
解体・縮小・改善が図られるよう、政策提言を続けていきたいと思います。
都議会も今年最後の定例会となりますので、
皆さま少しだけでもご注目いただければ幸いです。
それでは、また明日。
(2015年11月27日「おときた駿オフィシャルブログ」より転載)