医療費、教育費がすべて無料!東南アジア一のお金持ち国家ブルネイ。伝統的な家庭料理「アンブヤット」は、噛まずに飲み込む?[世界の食卓を実際に訪ねてみた vol.7 ブルネイ編]|KitchHike

おいしい匂いだけでなく、お金の匂いもする方へ。前回の台湾編に続いて訪れたのは、東南アジア一のお金持ち国家、ブルネイ!
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●住所/ブルネイ・バンダルスリブガワン

●家族/父(55歳)、母(52歳)、長女(24歳)、次女(21歳)、長女の彼氏(25歳)、幼馴染みの姉(24歳)、妹(21歳)、お手伝いさん

●住まい/鉄筋コンクリート造り 2階建て一軒家10LLDDK + 家庭果樹園

●キッチン/ガスとIH

●得意料理/何でも作るよ!

●今日のメニュー/アンブヤット、ナシレマッ、河魚の焼き物、河魚の煮物、牛肉と青菜炒め、プルパンガン(ココナッツミルクのお餅)、桜えびの塩漬け、茄子のスープ、小豆ごはん

●コメント/アンブヤットは噛んだらダメ!そのまま飲み込んでのどごしを楽しむの!

こんにちわ。KitchHike/食卓探検家の山本雅也です。世界の食卓を実際に訪ねてみた体験記シリーズです。

たまにはおいしい匂いだけでなく、お金の匂いもする方へ。前回の台湾編に続いて訪れたのは、東南アジア一のお金持ち国家、ブルネイ!

ブルネイってどんな国?

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ブルネイは、ボルネオ島の北側、マレーシアの国土に挟まれるように位置しています。大きさはざっくり日本の60分の1。豊富な石油と天然ガスのおかげで、医療費、教育費、所得税などが基本かかりません。果たしてどんな雰囲気の国なのでしょうか?

実際に現地の人に会って、一緒に食卓を囲んでみようと思います!

まずは、上陸してみました。

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マレーシアのコタキナバルからフェリーを乗り継いで5時間ほど。首都であるバンダルスリブガワンの小さな港に到着。観光客と思われる人は0。港の目の前にある駐車場も、人はまばら。タクシー乗り場やバス停も見当たりません。ありゃ、いきなり困った!

公共の交通機関がないのであれば、取るべき手段はただひとつ。ヒッチハイク。人の食卓におじゃまするキッチハイカーは、時々ヒッチハイクもするのです。

同じフェリーに乗っていたと思われるブルネイ人女性を見つけ、車を走らせる直前のタイミングで声をかけると、なんと一発OK。急いでるけど乗って行きなよと言ってくれました。優しくとても感じのよい方! ブルネイのイメージが急上昇です。

数えきれない部屋の巨大な家。ブルネイの家庭におじゃまします!

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今回おじゃましたのは、一家でホテルを経営するアマルさんの食卓。約束の時間より少し早く到着すると、近所に住む幼馴染カップルと一緒に笑顔で出迎えてくれました。

「暑かったでしょ! お腹は空いてるよね? ちょうど今用意してるところよ。」と家の中へ。皆さん、とても朗らかと言うか、余裕があるというか、とにかく優しく、凄く感じがイイのです。

まず驚いてしまったのが家の大きさ。ええと、部屋が数え切れません! とにかく巨大! ざっくり見積もっても400㎡くらい。調度品も雰囲気があって、整理されています。

台所へ潜入。ブルネイに伝わる「アンブヤット」とは?

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続いて台所へ。今日は人数も多いのでいっぱい作るよ!と張り切るお母さん。

ブルネイは国民の半数以上がイスラム教徒なので、ヒジャブ(女性が頭に巻くスカーフ)を巻いている女性も街にちらほら。とはいえ、そこまで厳格ではないので、若者はスキニージーンズを履いたり自由にファッションを楽しんでいます。

ちなみに、お酒は一切飲まないらしいです。

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「これ知らないでしょ?」と不敵な笑みを浮かべながらぐにぐにと混ぜて作っているのは、なにやらゼリー状のもの。見た目は完全に水飴ですが、実はこれがブルネイの伝統的な料理「アンブヤット」なんです!

ヤシの幹から採れるデンプンにお湯を混ぜるだけ。うーむ、この時点では、味も、どうやって食べるのかも想像がつきません。

巨大なのは家だけじゃない。庭も巨大。

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「見せたいものがあるんだ。」とお父さんに案内されたのがこの素敵な庭。綺麗に手入れをされていて居心地がいい!

ただ、お父さんのドヤ顔はここから。これだけじゃないんだよ、とニヤリ。

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もはや庭というより完全に果樹園。ドリアンがぶら下がりまくった木が遥か遠くまで並んでいます。

「落ちてきたドリアンが頭に当って亡くなる人もいるから気をつけてね。」とお父さんが一言。僕が笑っていると、「いや、マジだから。」と真顔で言われてしまいました。すみません。

果物を作るお仕事をされていると思いきや、本業はイラストレーターとのこと。常に予想の斜め上をいくブルネイ。うーん、この揺さぶられる感じ、きらいではありません。

いよいよブルネイの家庭料理を実食!

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果樹園から戻ると、ちょうど料理も完成! 昨日から作っておいた分もあるのよとお母さん。

合わせると数えきれない料理の数。アンブヤットや河魚の焼き物、河魚の煮物、牛肉と青菜炒め、チキンカレー、プルパンガン(ココナッツミルクのお餅)、桜えびの塩漬け、茄子のスープ、小豆ごはんなどなど。

見慣れない料理ばかり! それでは、端から、いただきます!

シンプルな味付けだけど、辛くもなく、とても食べやすくておいしい!

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小エビの塩漬けをそのまま食べようとすると、「ストップ! それはアンブヤットと一緒に食べるのよ。」と一言。

箸で水飴のようなアンブヤットをぐるぐるっと一口大に巻き取り、好きなおかずをつけて口の中に放り込むらしい。なるほど、そうやって食べるのか。それでは早速実践です。

口に入れて噛もうとすると、再びストップ!

どうやら噛まずに飲み込んで、のどごしを楽しむらしい。む、むずかしい、、、飲み込んでみたはいいものの、正直言って、よくわからない味と感触。。。これを毎日食べるって、一体どうゆうことなんだ、、、?

ブルネイの食卓は、今までのどの国とも違う、妙な思い出となりました。

ブルネイの暮らしは、どんな感じなのでしょう?

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食後は、部屋を変えて、お茶をいただきました。

今回食卓に招いてくれたアマルさんは、ロンドンの大学を卒業して最近戻ってきたとのこと。聞くところによると、ブルネイには仕事があまりないらしい。ただ、あまり忙しく働く気もないようで、ゆるやかな生活を送っているよう。

それもそのはず、ブルネイは医療費も教育費も所得税も住民税も無料。その上、聞くところによると、大学を卒業して、申請をすると、なんと政府から土地と家が無料でもらえるらしい!

日本人としては信じられない制度。ブルネイの浮世離れした生活に、ただただ茫然。どうやら僕は、桃源郷に迷い込んでしまったようです。

おまけ。おすすめの水上村を訪ねてみました。

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おすすめしてもらった水上村。陸側からボートタクシーに乗って辿り着きました。昔からの集落らしいのですが、今も人が住んでいます。しかも大勢! 聞くところによると、陸に住めば土地や家がもらえる可能性があるけれど、それでもここの人たちは好き好んで水の上に住んでいるらしいです。

緑色の建物は、なんとモスク。水上モスクは、世界広しと言えども、なかなかないのでしょうか。

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今にも崩れそうな橋の先にあったのは、なんと売店。日用品が売っています。学校のような建物や集会所、二階建ての家まであるから驚きです。中にはカブトガニが飾られている家も。

不思議な食べ物から水上村まで、どこをどう切っても飽きさせませんね。

終戦直前までの数年間、日本の占領地だったブルネイ。日本から遠くない東南アジアにあるのに、あまり馴染みのない国、ブルネイ。

実際に現地に暮らす人とごはんを食べながら話すと、いろんなことに気付けます。すべてが予想の斜め上ではありましたが、既視感のない景色と体験ばかりさせてくれたブルネイが大好きになりました。なにより、ブルネイの人はめちゃくちゃ優しい!

お腹が空いたら人とつながるいいチャンス! KitchHikeの旅は、続きます!

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(2014年9月9日「KitchHike マガジン」より転載)