1976年のモントリオールオリンピックの陸上男子十種競技金メダリストで、女優キム・カーダシアンの義父ブルース・ジェンナー(65)が、トランスジェンダー(身体の性と心の性の不一致)であることをカミングアウトした。
4月24日夜、ABCテレビのトーク番組「20/20」の特別番組でキャスター、ダイアン・ソーヤーのインタビューに答えた。
「私は私です。私は一人の人間です。私はこういう人間なんです。私は自分の体に縛られません。私の脳は、男性的というよりも女性的なんです」とジェンナーは言った。「あらゆる意味で、私は女性です。人は違ったように私を見ます。彼らは男らしい男として見ますが、私の心、魂、そして私が人生で行ってきたことすべてが私の一部なのです。女性的な側面は私の一部なんです。それが、私そのものなんです。私は生まれつき遺伝的に女性ではありませんでした。今は、男性的な部分をすべて、男性的な肉体を持っています。ですから、(トランスジェンダーの人は)いろいろな面で違いがあります。それでも、女性だと認識しているのです。今のブルース・ジェンナーにとって、それはとても苦しいことです。なぜかって? 私は人を失望させたくはないのです」
ジェンナーは、性的には女性に惹きつけられると語った。彼は、ジェンダーとセクシュアリティ(性的指向)の違いを強調するように気をつけていたという。子どもの頃、彼は女性の服を着たし、これまでも公の場に女性用の服を着て出かけてきたと明かした。
キャスターのソーヤーは、「そのようなリスクを負ったということは、それほどあなたにとってジェンダーは重要だったのですね?」と尋ねた。
「まさにそうです」と彼は答えた。
ジェンナーは、リアリティ番組「カーダシアン家のお騒がせセレブライフ」のようなテレビ番組に出ることは支障にならないと話した。それは、彼に本当のインパクトを与えることのできる枠組みを与えてくれる。
「私たちは世界を変えたいのです」とジェンナーはソーヤーに言った。「私はしっかりと、確実に、私たちが世界に変化をもたらそうとしているのだと信じています」
カミングアウトしてすぐに支援者が続々と現れた。
「今日、とてもたくさんの人々が、そして自分の知っているある人物も、トランスジェンダーだと知りました」と、GLAAD(中傷と闘うゲイ&レズビアン同盟)の会長であり、最高経営責任者のサラ・ケイト・エリスが、ハフポストUS版によせた声明の中で述べた。
「この話をシェアすることで、ブルース・ジェンナーは、トランスジェンダーであること、そして、想像できないくらいに世間から注目されている中で、本音で生きることの大切さを教えてくれたのです。ジェンナーの半生は極めて私的なものですが、同時に、世界中の数え切れないほどの人々に衝撃を与え、勇気を与えるのです」
カーダシアンは、彼女の娘のノースが、ゆくゆくはジェンナーから何を学べるのかと尋ねられた時に「私は誰もが彼の人生から学ぶことができると考えています。そして、私は、父がその話をシェアできることにわくわくしています」と言った。「私たちはみんな、彼を100パーセント支えるだけです。私は、自分のママが彼を支えなかったり、姉妹が彼を支えなかったりということを見ると、とても嫌なんです。とにかく、人が話したくなるようなストーリーなんです。私たちの誰もこのことを話したことはありませんでした。私たちはブルースに最初に喋らせようとしているんです」
ハフポストはカーダシアンとジェンナー家の広報担当にコメントを求めたが、返答はなかった。
1976年のオリンピックで十種競技の金メダルを獲得した時に「世界で最も素晴らしいアスリート」と評されたジェンナーは、1991年、タレントのクリス・ジェンナーと結婚してカーダシアン家に加わった。彼はコートニー、キム、クロエ、そしてロブ・カーダシアンの義父となり、その後クリスとの間に2人の娘ケンダル・ジェンナーとカイリー・ジェンナーの親となった。彼は、エンターテインメント専門のテレビ局「E!」で放送されているカーダシアン一家のリアリティ番組「カーダシアン家のお騒がせセレブライフ」で、2007年の初回放送以来、ずっと中心人物だった。彼とクリスは、22年の結婚生活を経て、2013年に離婚したことを発表した。
ブルース・ジェンナーは、過去に歌手のリンダ・トンプソン、女優のクリスティー・スコットと結婚し、それぞれとの間に2人の子供をもうけた。スコットは最近、彼女がジェンナーを「彼の選択をどんな形でも支持する」と話した。
(注)ジェンナーは「あらゆる意味で、私は女性です」と告白したが、彼は新しい名前や女性代名詞で呼ばれたいとはまだ表明していない。そのため、この記事では男性代名詞を使用している。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
【関連記事】
ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています。
ハフィントンポスト日本版はTwitterでも情報発信しています。@HuffPostJapan をフォロー