イギリス議会下院で歴史的な変化が起こった。議会採決で、議員の出産・育児が理由の代理投票の容認が可決された。
この新たな制度は、議員が出産・育児が理由の場合、議会に直接出席しなくても、同僚を指名し代理投票してもらうことが可能だ。
全員一致で支持したこの制度は、まず1年間試験導入が条件で、1月29日に行われたEU離脱協定についての重大な投票前に導入された。
これは1月上旬、EU離脱問題での採決で、チューリップ・シディク女性議員が投票の為に帝王切開の予定を延期した事がきっかけ。
下院で、今回の代理投票案を推奨していたアンドレア・リードソム議長は、「子供が生まれたら、しばらく両親は赤ちゃんと妨げなく共に時間を過ごせるべきだと心から思っています。...これは親子の心と体の健康にとても重要なのです」と語った。
保守派のアンドレア・ジェンキンス議員は新生児の母として、投票するためだけに"生後3週間の赤ちゃんを連れて国の端から端まで移動"する事に、罪悪感を感じたという。
「投票するだけの為に、今まで何度直前に呼び出されたか分かりません。一度は、赤ちゃんを連れて電車に乗り出勤し、投票して夜11時に帰宅したのに、なんと、翌日また来るよう呼び出されました」と彼女は言った。
これまでの制度は、"ペアリング"制という、ある政党の議員1人が投票できない際、反対の党も1人投票を棄権し、平等を試みる制度であった。
しかし、この非公式な合意は弱体化しつつあり、保守派がEU離脱に関する一連の重要な投票でこの合意を破ったとの疑惑が沸いた後は、熱い議論の的となっていた。
1月中旬に行われた下院議論では、両党一致で議員の出産、育児を理由での代理投票が可決された。
最近出産した、自由民主党のジョー・スウィンソン副議長は、この変化を喜ぶが、充分ではないという。
「私たちはこのような変化を長い間待っていました。下院の近代化は時間と労力がかかる作業です。まさに出産のようなものー、だから進めていきましょう」彼女は言った。
スウィンソン副議長は、以前の制度の被害者だ。ペアリングされたもう一党の議員が投票したのだ。後に議員は院内幹事が「間違えた」と謝罪した。
労働党の元議長代行のハリエット・ハーマンさんは、「私にとっては31年ほど遅いです」と言うが、重要なステップだと語った。
「議会には、これから子供が生まれる議員がたくさんいます。子供たちは幸運な事にイギリスのEU離脱問題に関しては気づいていませんが、彼らの出産は遅らせられません。ですから、今から取り組みが始まっていることは嬉しいです」と言った。
ハフポストUK版の記事を翻訳、編集しました。