ブラジル北部の街ベレンへのに暮らすロマルド・マセード・ロドリゲスさんは8月、3日間の漁に出た。
いつもと変わらない漁の予定だった。しかしロドリゲスさんは海上で、船にヒビが入り浸水し始めたことに気づいた。
もう終わりだと思った時、ロドリゲスさんの頭にある考えが浮かんだ。それは、備え付けの冷凍庫を救命ボート代わりに使うこと。
ロドリゲスさんは「もう終わりだと思いましたが、神が私にもう一度チャンスを与えてくださいました。(冷凍庫が)沈んでいないのを見て、中に飛び乗ったのです」と9月3日に放送されたCNN系列のブラジルのテレビ局レコールで語った。
食べ物も飲み物もない状態で、海上を漂流し続けたロドリゲスさん。最も苦しめられたのは喉の渇きだったが、サメの脅威もあった。
「冷凍庫の周りにサメが集まってきましたが、そのうち去って行きました」とレコールに話している。
「(襲われると)思いました。眠らず(冷凍庫)にとどまりました。日が登り、沈んでいくのを目にしました。誰か助けをよこしてほしいと神に祈りました」
ロドリゲスさんは冷凍庫に入ってくる水を手でかき出し、心の強さと希望を保つために、家族のことを思った。
そして船が沈没してから11日後、漁師の一団がスリナム沖で脱水状態のロドリゲスさんを発見した。
ロドリゲスさんは「何か物音が聞こえ、冷凍庫の向こうにボートが見えました」と振り返っている。
「彼らは、中に誰もいないだろうと思ったそうです。ゆっくりと停止しました。私の視界は、すでにかすんでいました。私は『神様、船だ』と言いました。腕を上げて、助けを求めました」
KOLD13によると、ロドリゲスさんはスリナム到着後に入国書類不所持を理由逮捕されたが、数日後に帰国が許された。
「私の人生にとって、冷凍庫が神だった」とレコールに話している。「私に残されたものは冷凍庫だけでした。これは奇跡です」
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。
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