ボリス・ネムツォフとはどんな人物か これまで報じられなかったロシアの暗殺された野党指導者

暗殺されたロシア野党の指導者ネムツォフ氏とはどんな人物だったのか? 知っておくべき彼の19の足跡をたどる。
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Russian opposition leader Boris Nemtsov speaks to youth opposition protesters, evicted by police from a protest camp at Chistiye Prudy, at a new site chosen for their camp in downtown Moscow, Wednesday, May 16, 2012. Russian police uprooted a protest camp in central Moscow that has become a center of opposition activity, rousting demonstrators in an early morning raid Wednesday hours before a deadline to leave. (AP Photo / Misha Japaridze)
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ロシアの首都モスクワにあるクレムリン付近で2月27日、プーチン政権を批判していた野党の指導者ボリス・ネムツォフ元第一副首相が暗殺された

ロシアで最も注目を浴びた、カリスマ的な野党指導者だったネムツォフ氏の死はロシア中に衝撃を与え、世界中からの非難を招いた。

アメリカのオバマ大統領、イギリスのキャメロン首相、ドイツのメルケル首相、そして元チェスの世界チャンピオンで、ネムツォフ氏と同じく反プーチンの政治活動を行っているガルリ・カスパロフ氏といった人たちが、徹底した捜査を求めている。プーチン大統領は、ロシアの司法トップに対し直々に捜査の命令を下した

しかし、ロシア国内はもちろん、国外でもネムツォフ氏の動向が報じられることはほとんどなかった。ロシアのメディアから排除され、彼の政治活動が伝えられていなかったことが原因である。ネムツォフ氏とはどんな人物だったのか? 知っておくべき彼の19の足跡をたどる。

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ボリス・ネムツォフは、反プーチン大統領派の中でも最も批判的でカリスマ性のある人物だった。

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彼はクレムリンにほど近い場所で、背中に4発の銃弾を受けて射殺された。彼の支持者は「暗殺」と言っている。

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ネムツォフ氏は冬季オリンピックが行われたソチの生まれ。ユダヤ人の母を持つが、祖父母の影響でロシア正教会の洗礼を受けている。

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彼は優秀な物理学者だった。かつてモスクワから約400キロ離れたゴーリキー大学の電波物理学研究所の主任研究員を務めていた。

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彼はチェルノブイリ原発事故をきっかけに政治に深く関わるようになった。そして地元ゴーリキーで原発建設を阻止する抗議運動を主導したことで初めてその名が知られるようになった。

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1990年、彼は30歳で国会議員に初当選し、急進改革派の「民主ロシア」に加わった。ここで彼はボリス・エリツィン元大統領と接近したとみられる。

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1991年、エリツィン氏が行った有名な戦車上での演説で、ネムツォフ氏は共に戦車の上に立った。

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ネムツォフ氏は1990年代に州知事、そして副首相に就任し、かつてはロシアで初の大統領となったエリツィン氏の有望な後継者と見られていた。

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ネムツォフ氏が行った経済改革はイギリスのサッチャー首相からも称賛されたが、90年代末に彼が結成した右派勢力同盟が行った民営化路線やは多くのロシア人の中で物議を醸し、在任期間中はたびたび経済危機に苦しんだ。

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やがて右派勢力同盟はロシアの国会ですべての議席を失い、プーチン氏が率いる統一ロシアが多数派となった。

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政治家として活動していた間は、ネムツォフ氏はユーモアが豊かなキャラクターで幅広い支持を得ていたが、彼や他の野党指導者は国営テレビから姿を消し、主張の場が与えられなかった。

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ネムツォフ氏は野党のリーダーとなり、国の汚職に反対する抗議デモを率いて頻繁に逮捕された。

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彼はロシアの国家主義者たちからソーシャルメディア上でいつも脅迫を受けていた。殺害予告を受けたこともある。

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2009年、ソチ市長選の選挙活動でネムツォフ氏の顔にアンモニアが投げつけられた。

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ネムツォフ氏は扇動的な反体制指導者でブロガーのアレクセイ・ナワルニー氏と接近した。ナワルニー氏は新しい、若手の反体制運動家として知られるようになったが、現在禁錮3年6カ月の実刑判決を受け、自宅に軟禁されている。

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ネムツォフ氏は2015年2月初め、86歳になる母親が「息子はプーチン大統領に殺されるのではないか」と恐れていると述べた。彼自身こうした不安はないのかと尋ねられ、彼はこう答えた。「恐れていたら、野党のリーダーなんて務まらない」

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殺害された時、ネムツォフ氏は2014年4月以来ウクライナ東部で親ロシア派が行っている戦闘にロシア政府が直接関与している証拠を示す報告書の作成にとりかかっていた。

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殺害される直前、ネムツォフ氏はロシアのラジオでモスクワ市民に対し、ウクライナの戦闘にロシアが関与することや国内の財政危機に抗議する平和的な集会に参加するよう呼びかけた。

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彼はウクライナ人モデルのガールフレンド、アンナ・ドゥリツカさんの目の前で射殺された。クレムリンから200メートル以内にあるボリショイ・モスクボレツキー橋を渡っていた時に4発の銃弾を受けた。

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