冬のボーナスが5年ぶりに上がる--。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが11月1日、2013年冬のボーナス見通しに関するレポートを発表した。民間企業におけるボーナスの平均支給額は5年ぶりに増加に転じ、一人当たり36万7500円と、前年比で0.5%増えるという。
■2013年冬のボーナス支給見通し
支給額を業別に見ると、製造業は46万8000円で前年比0.6%増、非製造業では34万5100円で同0.5%増が見込まれる。特に自動車などの輸出型企業や大企業製造業で、前年比を大きく上回るところもあるという。東芝などは既に、冬ボーナスを3%アップすることを決めているようだ。
東芝の本業のもうけを示す営業利益は、スマートフォン向けの半導体の売り上げが伸びたことに加えて、円安効果もあって1000億円余りと、前の年の同じ時期の1.5倍に増えました。
これを踏まえ、久保副社長はこの冬のボーナスについて、「東芝の制度は、業績に連動している。決算が好調だったので、国内だけで前の年に比べて3%を超える増加になる」と述べました。
(NHKニュース「東芝 冬ボーナス3%アップへ」より。 2013/10/30 18:50)
財団法人 労務行政研究所が10月7日に発表した東証第1部上場企業の2013年年末賞与・一時金(ボーナス)の妥結水準調査によると、「自動車」は前年比+10.9%と大きく上昇。また、「電気機械」も+3.4%となった。一方、「鉄鋼」は−12.5%、「医薬品」が同−9.4%と厳しい業種もある。「建設」は前年比でみると1.5%増となったが、前期(夏)と比べると、7.2%マイナスと、夏のボーナスに比べて減る業種もあるようだ。
非製造業については、物価の上昇をうけてコストが上昇することもあり、ボーナスが伸び悩む可能性があるという。非製造業は消費税が上がっても、値上げがしにくい点もあり、その分「賃金」というコストを抑えて圧縮するという見方もあるためだ。
■2013年冬のボーナスは出ても、後が続かない企業がある?
しかしボーナスが上がるからといって景気回復だと安心するのは少し早いようだ。みずほ証券のマーケットエコノミスト石津健太氏は。リーマンショックが起こった2008年冬のボーナスと比較して、まだまだ低水準と指摘する。
ただ、ボーナスの支給額の水準は、リーマン・ショック直後の2008年冬の42万円台に及ばない。みずほの試算を担当した石津健太マーケットエコノミストは「日本経済が来年4月の消費税増税を乗り越えるには、家計の収入を増やす必要がある。来春闘で賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)を実現できるかどうかがカギだ」。
(朝日新聞デジタル「冬のボーナス、5年ぶり増加 野村・みずほ証券が予想」より。 2013/11/01 21:47)
安倍政権はデフレ脱却に向け、企業に対して賃金を上げるように促しているが、4月には消費増税もあるため、企業の収益環境は春以降再び厳しくなるのではないかという懸念もある。
ロイターは、ボーナスは出ても、賃上げが出来ない企業が出てくることを指摘。来春賃上げ出来るかどうかが、強い企業かどうかを見ぬくポイントになるとしている。
だが、電機業界に代表される国際競争で劣勢な立場に追い詰められた企業にとって、ボーナス増額での対応は可能としても、あとあとのコスト負担が増大するベースアップは、やろうと思っても「できない相談」ということにならざるを得ない。
言い換えれば、来年の春闘でベースアップを実施できた企業が「勝ち組」、できなかった企業が「負け組」と識別できるということだ。日本の産業界の優等生であった大企業・製造業に「ベア実施」という断層が走り、そこで経営の優劣がはっきり見える構図になると予想する。
(ロイター「コラム:製造業「負け組」に賃下げ圧力、人手不足との綱引きに」より。 2013/10/25 16:07)
2013年冬のボーナス、あなたは期待していますか。ご意見をお寄せください。
ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています。
関連記事