第一生命経済研究所の「第一生命経済研レポート2013年5月号」によると、民間企業の2013年夏のボーナス支給額は、前年比+0.7%の36万1千円と増加する見込みとなった。ボーナスが増加するのは、2010年夏以来である。
しかし、同レポートでは、増加する企業は大企業が中心と報じる。
ボーナスの増加率は小幅なものにとどまる見込みである。増加は大企業が中心になるとみられ、中小企業では目立った改善が期待できないことがその理由だ。中小企業は、内需に依存する度合いが大きいため、大企業と比べて円安の恩恵を受けにくい。そのため、足元でも大企業の業況感が改善する一方で、中小企業の改善は遅れている。雇用者の大半は中小企業に属しているため、中小企業での改善がみられなければボーナスの明確な改善は難しい。
(第一生命経済研究所 第一生命経済研レポート2013年5月号)
ブルームバーグでは、大和証券グループ本社が夏のボーナスを大幅に増やす方針であるとも報じている。
安倍政権が景気回復に向け企業に賃金引き上げを要請する中で、円安の恩恵を受ける代表的な輸出企業のトヨタ自動車やホンダなどが2ケタの年間賞与増加などに動いている。こうしたアベノミクスの影響が証券業界でも報酬増という形で現れ始めてきた。
(ブルームバーグ 2013/05/02 11:36)
アベノミクスの恩恵を受ける業界であれば、ボーナスは増額されそうだが、NEWS ポストセブンに「好調の不動産業界 取引先の手前高額のボーナス額公表できない(2013/04/23 07:00)」という記事があるように、恩恵を受けない業界もありそうだ。
財団法人労務行政研究所の「東証第1部上場企業の2013年夏季賞与・一時金(ボーナス)の妥結水準調査」2013年によると、対前年比で伸びているのは、水産・食品、ゴム、電気・機械、運送用機器、建設、陸運、情報通信などであった。
アベノミクスを支持するかどうかを他人に尋ねるときには、相手の業種を考慮に入れたほうがよいだろう。