2016年のノーベル文学賞に選ばれながら、これまで沈黙を続けていたアメリカのミュージシャン、ボブ・ディラン氏(75)が受賞を受け入れる意向であると、10月28日にスウェーデン・アカデミーが発表した。
アカデミーによると、ディラン氏から今週連絡があったという。ディラン氏は「ノーベル文学賞を受賞したと知り、私は言葉を失った。この栄誉をとても光栄に思う」と連絡があり、受賞を受け入れる意向を示した。
ディラン氏は28日にデイリー・テレグラフに掲載されたインタビューで、ノーベル文学賞に初めて言及。「素晴らしいし、信じられない。こんなことを夢見る人がいるかい?」と語った。一方で、受賞から2週間も沈黙した理由については明らかにしなかった。
12月10日にストックホルムで開かれる授賞式への出席するか問われると、「もちろん。行けそうならね」(“Absolutely, If it’s at all possible.”)と明言を避けた。
ただ、スウェーデン・アカデミーは声明の中で、ディラン氏が授賞式に出席するかどうかは「決まっていない」としている。
ディラン氏をめぐっては13日、ノーベル文学賞の選考委員の一人が受賞発表後も沈黙を貫いたディラン氏を「無礼で傲慢(ごうまん)だ。でもそれが彼ってものだ」と述べ、波紋が拡がっていた。
また、ディラン氏にはノーベル賞の賞金800万クローナ(約9400万円)を受け取る権利があるが、一定の期限内に受賞理由となった功績に関する講演をしなければ賞金の権利は消滅する。期限は授賞式が行われる12月10日から換算して6カ月以内となっている。
■吉田拓郎「燕尾服なんか着ない方が格好いい」
吉田拓郎
ボブ・ディラン氏から多大な影響を受けたという吉田拓郎は、27日のツアー公演前の会見で、ディラン氏のノーベル文学賞受賞について触れた。
産経新聞によると、吉田は「すごい出来事だと思う半面、ボブ・ディランは一体どう考えているんだろうというのが率直にある」とした上で、「彼は心の奥に何かを強く持ってるんだけど、それを生涯、人には明かさないんじゃないか」と説明。
その上で、自身が1974年の日本レコード大賞で森進一の「襟裳岬」の作曲者としてGジャン&ジーンズ姿で登場し、顰蹙(ひんしゅく)をかったことに触れつつ、「燕尾服なんか着ないでボブ・ディラン的ファッションで出ていったら格好いいな」と語った。
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