アメリカ・フロリダ州オーランドの地元当局は、12日に起こったゲイクラブでの銃乱射事件で少なくとも49人が死亡、53人が負傷したことを受け、人々に献血を求めている。
しかし過去に男性と性交歴のある男性は、数十年前のアメリカ食品医薬品局(FDA)の規制のため、献血することは法律で禁じられている。つまり、アメリカ史上最も悲惨な銃撃事件となった今回の事件で、ゲイの男性やバイセクシュアルの男性が自身のコミュニティを助けることができない、ということになる。
このFDAの方針は1985年にさかのぼる。後天性免疫不全症候群(AIDS)が世界中に蔓延し始めた当時、全てのゲイとバイセクシュアルの男性の輸血が禁止されていた。FDAは2015年、この規制を若干緩めたが、事実上ほとんど変更はない。現在では過去に男性との性交歴のある男性の輸血を禁止するというものになっている。つまり、すでに結婚していたり、パートナーと一緒に暮らしているゲイの男性は、未だに献血することが禁じられている。
SNSやMSNBCの地元局の放送によると、オーランドの血液センター「ワンブラッド」では現在一時的に献血の規制が引き下げられ、ゲイの男性も献血できるようになっている。後にワンブラッドは、連邦の規制を無視したものではないと説明した。
12日の朝、最も輸血が必要な時に献血をすることができない怒りと悲しみを、多くの人がTwitterに投稿した。
多くの負傷した、同じゲイの人たちが病院で輸血を必要としているのに、オーランドではゲイの男性とバイセクシュアルの男性は献血することが禁止されている。
オーランドはナイトクラブ「パルス」での銃撃事件を受け、献血提供者を募っています。しかし私たちゲイの男性は、法律によって同じゲイの男性に血液を提供して助けることが禁止されているのです。
ゲイの人の命を救うために輸血が必要なのに、ゲイの人の血液を拒否することは負傷者に対する侮辱です。
私たちが住む世界は、誰もが銃を買ってクラブで乱射できるのですが、ゲイも含めた全ての人が、撃たれた人のために献血することができない世界なのです。なんて世界なのでしょうか。
LGBTコミュニティの人たちの中にはSNSを使い、献血できない自分たちに代わってゲイではない人たちに献血してもらうよう嘆願している人たちもいる。
お願い:これを読んでいるオーランドのストレートの人たちへ、昨晩のナイトクラブの銃撃事件での被害者を助けるため、当局は血液提供者を必要としています。しかし、未だにゲイの男性は規制によって献血することが禁止されているのです。どうかみなさんの力を貸してください!最寄りの血液センターに行って、ぜひ私たちのために献血をお願いします!
LGBTのコミュニティは、1980年代からHIV検査の精度が劇的に向上したので、ゲイの男性に対する献血の規制に関してより科学的根拠に基づいたものに変更するよう活動してきた。ニューヨーク・タイムズは2015年、「ゲイの男性の献血に関する規制は、HIV検査が今よりもずっと時間がかかり、精度も不安定だった時代に定められたものだ。現在では、感染後わずか9日ほどで血中のHIVウイルスを検出できる検査もある」という記事を掲載している。
しかしFDA当局は、これまで12カ月間の待機期間を変えることはなかった。ワシントンD.C.に拠点を置く、HIVやAIDS、LGBTに関した活動を行うホイットマン-ウォーカー・ヘルス氏は、FDAと同じくHIV検査にはある程度の待機期間が必要だとは考えているが、しかし期間はもっと短い方が妥当だとしている。
ゲイであることを公開し、男性と結婚したジャリッド・ポリス議員(コロラド州 - 民主党)は、この方針が見直されるべき時が来たと話した。
ゲイの男性が他人に献血できないような道徳に反し、危険な規制は覆すべきです。自分の夫に輸血することすらできないなんて馬鹿馬鹿しいと思いませんか?
ゲイとバイセクシュアルの男性は献血することは禁止されているがが、それ以外の献血しようとする人たちの足並みが途絶えることはない。12日のオーランドの血液センターには、献血をして負傷者を助けようとする人たちの行列が、ドアの外まで続くほどだった。
少なくとも1500人がミシガンの血液センターに並んでいます。他の血液センターも献血を受け付けています。
これがウォーターフォードの血液センターの行列です。オーランドの人を助けるためにみんなが一つになっていて、素晴らしいです。
ウィンターガーデンの献血センターでの行列です。まだ営業時間の前なのにこれだけの人が並んでいます。この街は思いやりで溢れています。
ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。
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