18世紀の海賊「黒ひげ」の難破船「アン女王の復讐号」からの発掘作業を行っていた考古学者チームが、船の残骸から様々な医療器具を掘り出した。その外見は、実に異様だ。
エドワード・ティーチ(通称「黒ひげ」)の版画
エドワード・ティーチ、通称「黒ひげ」は、フランス、スペインとイギリス、オーストリア、オランダとの間でスペインの王位をめぐって争われたスペイン継承戦争(アメリカ大陸では「アン女王戦争」1701-14)で私掠船の乗組員として活動した後、海賊となった。1716年以降、西インド諸島、バージニア海岸地方などで略奪を重ねたが、1717年11月に、フランスの奴隷船「ラ・コンコルド」を略奪し、「アン女王の復讐号」と名付け、船長となった。「黒ひげ」は1718年ノースカロライナで冬季宿営中、バージニア総督の討伐軍に襲われ殺された。
科学ニュースサイト「ライブ・サイエンス」によると、発見物の中には、梅毒の治療に使われたと思われる尿道注射器、2つのポンプ 、そして瀉血に使われたとみられる金属製のボウルなどがあったという。
梅毒の治療に使われたと思われる尿道注射器
アメリカ国防省に在籍する考古学者、リンダ・カーンズ・マクノートン博士はCNNに「彼らは病気に苦しんでいたことを理解しないといけない」と述べた。マクノートン博士はボランティアとして発掘作業に参加している。「彼らはあらゆる病気に関して、症状を軽減する方法を求めていました。また、海上で戦闘があったとすれば、病気に加えて怪我の治療も必要だったはずです。非常時には正式に訓練された人間ばかりが対応したわけではありません。私たちが知る以上に一般的に行われていたことでしょう」。
薬品を作るため、成分をすり砕くのに使われたとみられるすり鉢とすりこぎ
薬品量をはかるために使用された品
黒ひげの旗艦は1718年にノースカロライナ州沖で座礁し、彼はこの船を失った。この船は270年以上にわたり海水と砂に覆われていたが、1996年に再び発見された。そしてこの難破船は、ノースカロライナ州文化資源局の「アン女王の復讐」号プロジェクトの一環で詳しく調査されている。
旗艦で発見された医療用品の遺物から考古学者らは、黒ひげの船の乗組員が軽い外傷や病気だけでなく、慢性疾患の治療をどのように行っていたかを知ることができる。
「彼は海賊行為に情熱を燃やしていました。海賊を続けること、そして続けさせることを非常に重視していたのだと思います。そのためには健康で任務を果たせる乗組員が必要だったのです」と、カーンズ・マクノートン博士は「ワシントン・ポスト」に語っている。
マクノートン博士は、2015年1月8日に開催された「歴史考古学学会」の年次総会で発見した品を紹介した。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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