原作者に無断で一部シーンが黒塗りで発売される予定だった秋田書店のホラー漫画『殺戮モルフ』第2巻が、この形では発売されないことが決まった。すでに刷り上がってる分については廃棄されるという。
12月15日、原作者の外薗昌也(ほかぞの・まさや)さんに秋田書店側から連絡があったとハフポスト日本版の取材に明かした。
見本を受け取ると真っ黒「前代未聞です」
『殺戮モルフ』は外薗さんが原作、兄妹ユニットの「小池ノクト」が漫画を担当して2月から連載が始まった。謎めいた殺人鬼に翻弄される女子高生と警察官のスプラッターホラーだ。
12月20日に発売予定だった第2巻。出版社から見本を受け取った外薗さんは唖然とした。
一部の凄惨なシーンが「黒塗り」状態だったからだ。
事前の約束では、これらのシーンは、雑誌掲載時には黒塗りにするが、単行本では「オリジナルな状態で掲載する」という話だった。
このままの形の出版に納得がいかなかった外薗さんが、下記のようにツイート。これが、ネット上で大きな反響を呼んだ。
グロシーンを真っ黒に塗り潰されての発売となりました
真っ黒でなにがなんだかさっぱりわかりません
前代未聞です pic.twitter.com/cIKvR87B2Q
— 外薗昌也 (@hokazonomasaya) 2017年12月12日
真っ黒です pic.twitter.com/6bsKqqpZ8X
— 外薗昌也 (@hokazonomasaya) 2017年12月12日
進展があったのは12月13日夜だった。外園さんが「編集さんが青くなって飛んできました」「読者の皆さんに判断を仰ごうという話になりました」と報告した。
該当シーンを含む回は、外薗さんが運営するサイト上で、黒塗りを外した「真の姿」で公開されることが決まった。
騒動の背景には、有害図書指定を恐れる編集部の「勇み足」と、作者との連絡不足があるようだ。
外園さんはハフポスト日本版の取材に対し、「人気作品なので、有害図書指定されたら(事実上の)発禁になり、連載も中断してしまう、 それは絶対に避けたいという背景があったようでした」とコメントしている。
編集長が黒塗り版の発売中止を決める
そして、さらに事態が動いた。外薗さんによると12月15日、掲載誌「ヤングチャンピオン」の編集長との話し合いがあった。
その結果、「このままの状態なら発売して欲しくない」という外園さんの意向を汲んで、12月20日の第2巻の発売は中止し、すでに刷り上がってる分については廃棄する方向で決着したという。
第2巻を今後、どのような形で出すかについては数日かけて検討するそうだ。
外薗さんは「編集長には以前から好感持ってました。男らしい人なので、 かなりの損失があるのに、発売中止を決めていただき感謝してます」と話していた。