パワハラや残業代未払いなどの法令違反での労働を従業員に強いている企業を選ぶ「ブラック企業大賞2016」の授賞式が12月23日、東京都内で開かれ、電通が大賞に選ばれた。「過酷で人権侵害的な労働環境をまともに改善することもなく放置し続けた」ことなどが受賞の理由だった。
授賞式では、2015年12月25日に24歳の新入社員・高橋まつりさんが長時間労働の末に自殺したことや、1991年と2013年にも社員が過労自殺・過労死したことなどが紹介され、「何人もの労働者がこの企業によって殺された。電通は日本を代表する大企業である。それは輝かしい意味ではない。社会的に決して許されない人権侵害を続けた代表的企業である」などと、賞状が読み上げられた。
■2016年は11企業がノミネート
ブラック企業大賞は、日常的に労働相談に取り組んでいる弁護士や市民団体、ジャーナリストなどでつくられた実行委員会によって実施されている。
実行委ではブラック企業の定義について「労働法やその他の法令に抵触し、またはその可能性があるグレーゾーンな条件での労働を意図的・恣意的に従業員に強いている企業」「パワハラなどの暴力的強制を常套手段として従業員に強いる体質を持つ企業や法人」と決めている。そのうち、裁判や行政処分などで問題があると明らかになった企業をノミネート。2016年は以下の11社がノミネートされていた。
株式会社エイジス(棚卸し代行業者)
株式会社電通(広告代理店)
株式会社ドン・キホーテ(ディスカウントストア)
株式会社プリントパック(印刷サービス)
関西電力株式会社(電力)
佐川急便株式会社(運送)
サトレストランシステムズ株式会社(「和食さと」など飲食店)
宗教法人・仁和寺(京都市の真言宗御室派の総本山寺院)
ディスグランデ介護株式会社(デイサービス「茶話本舗」FC企業)
日本郵便株式会社(郵便事業)
DWE JAPAN株式会社(しゃぶしゃぶ温野菜)
今回は大賞のほか、「WEB投票賞」がネット投票で5958票、会場で9票を獲得した日本郵便に送られた。日本郵便へのネット投票数は他の企業の約2倍に上り、同社は「特別賞」にも選ばれた。
「業界賞」はプリントパックとデイサービス「茶話本舗」を運営するディスグランデ介護株式会社が受賞。また、「ブラックバイト賞」は急遽ノミネートされた「しゃぶしゃぶ温野菜」を運営するDWE JAPANが選ばれた。
発表は今年で5回目。2015年は「セブン-イレブン・ジャパン」、2014年は「ヤマダ電機」、2013年は「ワタミフードサービス」、2012年には「東京電力」が大賞に選出されている。
▼「ブラック企業大賞2016 ノミネート企業とその理由」画像集が開きます▼
【※】スライドショーが表示されない場合は、こちらへ。